6 ページ6
『わぁ……ここ、すごく見晴らしがいいですね』
Aは自分でも意外なことに、シャオロンの怖さよりも展望台から見る風景に目を奪われた。
手すりに手を置くと、そよ風が髪をさらい心地よい涼しさを感じる。
『きれいな景色……』
ショッピングモールなのでそこまでの高さはないものの、ここから我々国の一辺が一望できる。
シャオロンはAの横顔を見つめ、意を決したように手すりに置くAの手と手を重ね合わせた。
Aはびくりと震える。
sya「A」
シャオロンは真剣な目でAを見すえる。
頑張って目を合わすが、その瞳に映るAはトラに怯えるウサギのようだ。
だがシャオロンは緊張しているのか、そんなAの様子に気づいていない。
sya「俺、Aのこと……」
ついに来る、と身構えた瞬間。
次に口を開いたシャオロンを遮るようにドンドン！と太鼓を叩く爆音が下から聞こえてきた。
お互い眼下の光景に目をやると、人が大勢集まって行進しているのが見える。
『……パレード？』
sya「あ……そういや今日、建国記念日やったな」
『それで通りに人が多かったのね……』
またも中断されて、Aはため息をつく。今回はAのリサーチ不足のせいだ。
……こんな形で中断されると分かっていたなら、今日にしなかったのに。
早く告白を断ってこの奇妙な関係を終わりにしたいのに、シャオロンの持つ凶運がそうさせてはくれない。
ここまでくるとむしろ凶運というより、強運と言うべきなのだろうか。
今日はここまでは、と小さなため息をつく。しかしそこでシャオロンが話しかけてきた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 333人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩音(プロフ) - 完結おめでとうございます！ (2022年9月18日 8時) (
レス) @page24 id: 44cf22d412 (このIDを非表示/違反報告)
インク - 面白かったです！完結おめでとうございます！ (2022年9月17日 19時) (レス) @page24 id: a2f12395c4 (このIDを非表示/違反報告)
詩音(プロフ) - めっちゃ好きです…。これからも更新頑張ってください！ (2022年9月4日 19時) (レス) @page10 id: 44cf22d412 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：REO | 作成日時：2022年9月4日 18時
