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しかし。
全く、妙な世界だ。ここは、少女がまあまあ知っているはずの世界だったが、実のところ、纏っている空気というか、雰囲気というか、それは、だいぶん異なっていた。もっと、平和的で、おもちゃ箱みたいな、そんな楽しいものだったはずなのだけれど。子供向けの作品なのに、こんな殺伐としていいはずがない。つまり、あるべき姿ではない。
少女は、顎に手を当てて考える。考えなければいけないことが多すぎる。へんな身体的労働より、よっぽど疲れる。この妙な世界のこと、それから、自身のこれから……。
今日、学園長先生は彼女に、この学園に住めと、そう言ったのだけれど、しかし、はいそうですか、わかりました、そうやって、二つ返事をできるような提案ではなかったのである。森から学園まで少女を案内した忍び装束の少年(彼女は彼らを知らなかったが、忍たまのキャラクターだろう)たち、学園長を取り囲むようにして座っていた先生たち、皆例外なく、少女のことを歓迎せず、それどころか、殺気すら向けた。何かあった。私が来る前に、誰かが、何かをしたのだ。少女は理解した。へんにこの学園へ居座れば、危険が及ぶかもしれないということも。
だから、明日返事をさせてください、と少女は答えた。学園にいても危険、学園から去っても、これがたとえ子供向けのアニメ、漫画だったとしても、安全は確かではない。
溜息をつく。
とりあえず、布団を敷こう、と少女は立ち上がる。教えてもらった場所から引き出してきて、床に敷いた。慣れたベッドと比べると、ひどい寝心地だ。仕方がない。ここは令和じゃないんだし。布団を被る。見たい映画があった。読みたい本があった。しばらくは、あの洒落た本屋ともお別れか。そもそも、また行ける日はくるのだろうか。私は死んだのかもしれないというのに。少女は、憂鬱になって、すこし、目を閉じた。
★あとがき★
今回もあとがき入りです。
というのも、なんと今回地の文だけなんですが……
もうちょっと文の量少なくすべきでしょうか? 他の方のみてると、割とかなりあっさりしてるので……
読みにくいですか?
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はしまき(プロフ) - ありがとうございます。移転先でもテクマクさんの小説楽しく拝見させて頂きます(^^) (2019年7月25日 9時) (レス) id: b90d5ba7ae (このIDを非表示/違反報告)
テクマク(プロフ) - はしまきさん» おんなじですよ〜急に申し訳ないです汗 (2019年7月25日 1時) (レス) id: a653a54844 (このIDを非表示/違反報告)
はしまき(プロフ) - こんにちは、いつもこちらの小説楽しく拝見させて頂いてます。移転とこことですが小説名は移転先でも同じでしょうか? (2019年7月25日 1時) (レス) id: b90d5ba7ae (このIDを非表示/違反報告)
東華@マスク教教祖(プロフ) - テクマクさん» こまめなお返事ありがとうございます! (2019年6月25日 6時) (レス) id: 7b392f353b (このIDを非表示/違反報告)
テクマク(プロフ) - 東華@マスク教教祖さん» ありがとうございます! エタらないよう頑張ります……! (2019年6月25日 4時) (レス) id: a653a54844 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テクマク | 作成日時:2019年4月3日 2時