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あのあと、すぐに、昨日の女性が来た。食堂に案内されて、数多の敵意にさらされながら、早希は、焼き魚をつついている。ホッケだ。彼女は、ホッケの食べやすさが好きだった。ご飯に合うかと言われれば、鯖とか、アジとかの方が、
ずっと合うとは思っていたけど。

純和風。ここまで和食らしい和食を、現代で食べることは難しい。鯖の塩焼きを頼んでも、洋風のサラダがついていたりするし。子供は洋食の方が好きだし。和食は味が薄い、何より食べにくい。愛想をつかされて、今や健康食品ぐらいの扱いになっている。早希は、目の前の魚の小骨を避けて、身を呑みながら、ぼうっと、こうしてずっと貢献してきたのに、可哀想な奴め、なんてことを考えた。別に、本気で同情しているわけではない。そういう考えが、ふと湧いてきただけだった。

味噌汁を一口すすったところで、唐突に、早希のとなりにお盆が置かれた。

「やあ。君が噂の天女かい?」

気障ったらしい調子で話しかけてくるヤツがいる。こういうのは、無視するのが一番なのだ。けれど、

「どなたかな」

早希には、自分が齢18の大人である自負があった。つまり、子供っぽく、面倒を回避しようなどということを、プライドが許さなかった。
「平滝夜叉丸。学園一の美男子、全世界が渇望するアイドル! もしかして、ご存知ない?」
「うん」
「勿体ない!」

自信満々の表情。なるほど、たしかに美形ではある。しかし、学園一かはともかく、世界一のアイドルを自称できるかは怪しいだろう。ジョニー・デップや、ブラッド・ピットの面目が丸潰れだ……。

「この、ワタシを知らないと! お嬢さん、危うく、人生の半分……いや、人生の9割をドブに捨てるところでしたよ!」

陽気な少年だ、と早希は思う。そういえば、この滝夜叉丸という少年も、紫色の忍び装束を着ている。もしかしたら、さっきの彼と、知り合いなのかもしれない。

「このワタシの美しさは、世界どころか、宇宙をも驚愕させ、日本列島が大感涙……」

滝夜叉丸は、どうここまでいろんな言葉が出てくるのだろう、長々とした自画自賛の演説をしている。それを聞き流していると、いつのまにか、早希のお皿は、ほとんど空になっていた。最後に残った豆腐を挟んで、口へ運び、味噌汁を飲み干すと、席を立ち、微笑んで、

「ありがとう。あなたのような美人と出会えて、光栄極まりない」

本心だった。得体の知れない天女なんてものに時間を使うより、信頼の置ける人間に、自分の美を語ればいいのだ。

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設定タグ:天女 , 忍たま , rkrn   
作品ジャンル:アニメ
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はしまき(プロフ) - ありがとうございます。移転先でもテクマクさんの小説楽しく拝見させて頂きます(^^) (2019年7月25日 9時) (レス) id: b90d5ba7ae (このIDを非表示/違反報告)
テクマク(プロフ) - はしまきさん» おんなじですよ〜急に申し訳ないです汗 (2019年7月25日 1時) (レス) id: a653a54844 (このIDを非表示/違反報告)
はしまき(プロフ) - こんにちは、いつもこちらの小説楽しく拝見させて頂いてます。移転とこことですが小説名は移転先でも同じでしょうか? (2019年7月25日 1時) (レス) id: b90d5ba7ae (このIDを非表示/違反報告)
東華@マスク教教祖(プロフ) - テクマクさん» こまめなお返事ありがとうございます! (2019年6月25日 6時) (レス) id: 7b392f353b (このIDを非表示/違反報告)
テクマク(プロフ) - 東華@マスク教教祖さん» ありがとうございます! エタらないよう頑張ります……! (2019年6月25日 4時) (レス) id: a653a54844 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テクマク | 作成日時:2019年4月3日 2時

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