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Side Juri
「よ、調子どう？」
「まぁ、ぼちぼち。これから手術するやつが超元気ってなのもおかしいだろ笑」
学校帰り、
慎太郎の病院に通うことが、俺の最近の日課である。
今日は土曜日だから、朝から病院に来た。
これから慎太郎は手術だ。
「あーあー、暇だなぁ。ねぇなんか樹、面白い話してよ。」
手術前であるのに、
このフランクさは俺も尊敬に値する。
でも、こいつは前からそうだった。
小学生の時だって、
中学生の時だって、
高校生になった今だって。
『まぁ、失敗したら失敗した。しょうがないよ。』
なんて言っていた。
小さな検査でも、
怯えて泣き叫んでいた俺とは、真逆。
生きるのを諦めているわけではないようだったけど、どこか生きることに対しては、執着してない。
とはいえ、手術の話をして、場を重くするわけにいかないから、俺のクラスで起きた、まぁまぁ面白かった話をダラダラと話す。
「しんたろー、そろそろ行くぞ。」
「あ、きょも。久しぶり。」
「あぁ、樹。朝早くから。高3だろ？勉強してんのか？笑」
俺もお世話になっている、看護師のきょもが声をかけに来た。
「じゃ、樹。また。」
「おう、また明日来るな。」
今日は手術をしたら目が覚めないらしい。明日も日曜で、俺はやることもないから、ここに来る約束をした。
家に帰って、自分の机の上を見る。
“進路希望調査”
そう、強調して書かれている紙。
慎太郎のことを
心配している場合ではない。
せっかく先生や、看護師さん、
ママやパパにたくさん
お金を払ってもらって助かったこの体。
無駄にするわけにはいかないけど、
いまだに俺は、
自分の未来を描けてないでいた。
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作者名：Moku | 作成日時：2020年5月23日 8時
