俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ11)

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Side Juri

慎太郎が入院して、
1ヶ月経った頃だろうか。

彼の病状はまずまずと言ったところらしい。
良くも悪くもない。

ただ、手術は完治するためではなく、
命繋ぎのためだと慎太郎は言っていた。

弱った心臓にメスを入れることは危険だ。
それなのに手術に踏み切ったということは、
ギリギリの状態だったのかもしれない。

俺は、そんな彼の病室で不安を漏らしていた。
こんな言葉、毎日生きようと治療をしている彼に、
いう言葉ではなかったはず。俺は自分のことしか考えてなかったんだ。

「なんかさぁ、明日が来るのが怖い。」

担任に、毎日のように進路希望を
出せと言われる日々。

悩んでいる間に、
時間はどんどんすぎていく。

そんな毎日に、怖くなっていた。

「そんなの何回も
乗り越えてきたじゃん。」

「たとえばさ、体調が良くない日の夜。検査の前の日。隣の病室のやつが死んだ時…」

「忘れたの？」

「…ごめん、忘れてたかも。」

まだ俺が入院してた頃のこと。
俺は自分を守るため、忘れていたのかもしれない。

ママは俺が検査を受ける時、嫌がるといつも泣きそうな顔をして検査に俺を連れて行っていた。

パパは毎日治療費のためと必死に働いていて、
なかなか面会に来てくれなかった。

治らない自分の体が嫌で嫌でしょうがなくて、
そんな2人の姿を見ていて、毎日辛くて。

「じゃあさ、樹は今、幸せなんだよ？
…そっか、忘れられられるのかぁ。」

そういわれた俺は、
なんだか気まづくなった。

けど、その時も慎太郎は
いつも通り笑っていたんだ。