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Side Hokuto
そうしてまた新しい季節がやってきた。
高校1年生。友達も、顔見知りも、いない。
誰も自分のことを知らない環境。
それは初めてに近かった。
こんな時に後悔する。
塾行っとけば、
1人ぐらい知り合いいたかもな。
なんで俺の中学から
誰1人も同じ高校いないんだよ…
慣れない制服に、慣れない建物たち。
人混みが苦手な俺は、
満員電車に乗るだけで疲労困憊だった。
そんなことを考えていたが、俺の運命を
変える出会いはすぐそこにあったんだ。
「御入学、おめでとうございます」
先輩や先生たちに声をかけられながら
これから毎日通うことになる門をくぐる。
ドキドキしながら、
自分の席を確認して席に着く。
少しぼっーとしていると、
隣から突然声をかかられた。
「…ねぇ！聞こえてる？名前なんて言うの？俺ジェシー！よろしくね！どこ中？」
ノンストップで、話しかけられ、俺に言われているということに理解が追いつかなかった。
「え、俺に言ってるの？」
「当たり前じゃん！他に誰がいるの？笑
えーっと、松村北斗くん、であってる？」
「…うん、そうだけど」
「じゃあ、北斗だね！よろしくね。3年間。」
それからジェシーは
沢山俺に話してくれた。
そして、自然と、
俺はジェシーと会話をしていた。
高校生活の3年間、正直、友達ができるか不安だったけど、少し光が見えた瞬間。
彼と話しているうちに、
「ジェシーになら、伝えられるかもしれない。」
そう思った。
家に帰って、すぐに樹に電話した。
「樹！話しかけられた！
ジェシーっていうんだけどさ…」
それから長い時間、樹と電話をした。
樹も高校で慎太郎、という子と、仲良くなったらしい。
樹だからこそ言える、親にも兄貴にも、
他の誰にもできない相談をする。
「…あのさ、ジェシーに、病気のこと、話してみようと思う。」
電話先の樹は、
一瞬黙ったが、すぐに喋り出した。
「うん、いいんじゃない？話聞いてる限り、ほんといい奴そう。頑張れ。俺にも会わせてな。」
うん。頑張るね。
そう言って電話を切った。
樹の言葉に背中を
押され、しっかり決心する。
人見知りの俺がたった1日で
気持ちが決まるなんて、珍しい。
ただ、高校生活こそ、
自分の本当の姿を知ってもらうんだ。
その一心で話そうと心に決める。
流石に、ここ2週間は学校に慣れるのに必死だと思うから、よし、2週間後。絶対にジェシーに言おう。
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作者名：Moku | 作成日時：2020年5月23日 8時
