・ ページ4
Side Hokuto
「自分は糖尿病です。」
なんて言ったら、
いじめでもされるのではないか、
避けられるのではないか。
だって、
「お前、そんな食ったら糖尿病になるぞ笑！」
「ほんとだよ！笑」
なんて言葉が、
教室で誰かが誰かに言っているのが聞こえたから。
弱虫の俺は、
自ら危険を犯すことはできなかった。
部活は樹と同じバスケ部に。
そこで渡辺翔太、しょっぴーと仲良くなった。
結局自分の病気のことは話せないまま、卒業してしまったが。
恐らく、あと一歩だったはず。
だが、その一歩が、俺には
世界を渡るくらいに大きな距離だった。
誰にも話せずにいた俺だけど、
特に不自由なく生活していたんだ。
上手く隠していたし、
食後に毎回のようにトイレに行くけれど、それも生理現象だから、不審がる人もいない。
でもひとつ、体育の着替えの時間は少し大変だった。インスリンポンプがどうしても目立ってしまうから。
俺は小学5年生の頃からインスリンを注射からポンプに変えたんだけど、ポンプだと、1日に5回ほど打つ注射を、3日に1回の交換で済む。
1型糖尿病の子供たちが集まるキャンプでインスリンポンプを見て、「楽そう！」と思ったのがきっかけだったな。
「俺、ポンプがいい。」
と、自分から話した覚えがある。
それに、学校で注射を打つのは面倒だったから、ポンプは本当に楽だ。ボタンひとつでインスリンを注入できる。
ただ、利点もあれば、欠点もある。
楽なのはとてもいいが、それを足につけていると、プラスチックで、白いため、肌色には目立ってしまう。
制服のズボンを脱ぐと、
俺はマッハの速さでいつも着替えていた。
誰にもバレないように。
3年間それで潜り抜けられてきた。
まぁもともと、友達がいないことも原因しているだろうけど。
「北斗、ほんと着替えるの早いよなぁ。」
「ほんと、ほんと。」
「まぁな笑」
なんて言われたこともあったけど、
特に気にしなかった。
とはいえ、着替えの時のように、
話しかけてくる人は沢山いる。
「北斗くん、これってさ…」
「松村ー。」
来るもの拒まず、というスタイルであるから、勉強について聞かれたり、委員会にも入っていたから、そのことで話しかけられたり。
でも、そんな表面上の
付き合いをしてるばかりか、
「中学校に入ったら、樹みたいに仲良い人、もう1人ぐらいは作る！」
と意気込んでいたけれど、
結局それは叶わなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 372人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Moku | 作成日時：2020年5月23日 8時
