俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ3)

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Side Hokuto

IDDM。

小児糖尿病。

インスリン依存性糖尿病。

いくつか、呼び方があるが、
1番有名なのは「1型糖尿病」だろうか。

俺が発症したのは2歳らしいから、
この病気とは、かれこれ13年の
付き合いになる。

俺がこの病気で、
良かったこと、面倒なこと。

何かあるか、と問われれば難しいが、

樹と話すきっかけになった、とか。

自分でインスリンを注入する、とか。

そんなことぐらいだと思う。

「病気は個性だ。」

「神様は乗り越えられる試練しか与えない。」

なんて言葉を聞くけど、俺にとって、
病気は個性だとか、試練だとかには思ってない。

それに、あまり自分を「病気」だ、
なんて強く思って生活していない。
そっちの方が俺は辛いから。

思い出せる記憶のときから、
血糖測定をして、インスリンを打って、
それは俺にとって普通のことであった。

小学生にもなれば自分が人とは違うことを理解していたが、「なんで俺だけ。」なんていう感情は生まれなかった。

何しろ、それが俺にとっては「普通」、習慣というより、呼吸と同じようなかんじ。意識せずともやること、のような。

ただ、ずっと自分が「糖尿病」であることに対しては、隠したいという意識がある。

今まで自分から病気のことを話したのは樹だけだ。小学生の時に、学校の担任からクラスメイトに説明されたけど、もう誰も覚えていないだろう。
俺だってみんなに、どうやって説明したか覚えてないし。

中学生になってからも、
誰にも話すことはなかった。

いや、話せなかった。