俺らまだ原石 garnet 【1】 (ページ36)

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Side Taiga

ジェシーは血液系の病気を患っている。
こうやって朝、貧血で起きられないことも少なくない。

「ホットタオル当てるね？」

先に準備しておいたタオルを目元に当ててやる。これでいくらか、良くなるだろう。

「だいじょうぶ？」

「haha…ごめん、大丈夫…」

慎太郎に聞かれて、そう答えるジェシーの顔は全然大丈夫そうに見えない。

「ジェシー、無理しちゃダメ。慎太郎、1回下行こうか。」

全く納得していない慎太郎を連れて、
下に向かい、朝食を用意して。

食べておいて、とお願いした。

・

・

「ジェシー…って、え、ジェシー！」

部屋に戻ると、
ベットにはジェシーの姿がなかった。

ベットにいないと思ったら、入り口側から
見えない方にジェシーが倒れ込んでいる。

「どうしたの？急に立ち上がったの？」

「…っﾊｧｯ誰もいなくて…」

貧血の影響で全身に血が回っていないのか胸を
ぎゅっと掴みながら、苦しそうに話す。

そうだった。
すっかり頭から抜けていた。

「ごめんね。ちゃんと声をかけてなくて。立ち上がれる？」

「…うん、ごめん。」

「よし、俺こそごめんな。」

「気持ち悪い…」

いつもベットの近くにある袋を用意して、背中をさする。

「げほっげほっ…うっ…」

少し経てば吐き気は落ち着いてきて、
俺は安心させるように体をトントンする。

「俺いるから、寝ちゃいな？」

そうすると、すっーと目が閉じた。

ジェシーのいた施設の
先生から話を聞いたことがある。

施設に入る前は、
母親と2人で暮らしいたジェシー。

でも、どんなに遅い時間でも、どんなに具合が悪くても、ジェシーは家に1人だった。

だからどうしても1人は苦手で、施設に来たばかりの頃は大変だったらしい。

なんとか克服したけど、やっぱり具合の悪い時や、天気が悪い時、ふとした時に
1人だと過呼吸気味になってしまって。

最近はあまりなかったから、
すっかり頭から抜けてしまっていた。

「ごめんね。」

さっきよりはいくらか気持ちよさそうに寝ているジェシーにそう呟く。

俺たちの両親は出張が多い。
せっかくこの家に引き取られたけれど、
3人で過ごすことが多くて。

ジェシーだってまだ中学生だけど、
慎太郎がいてあまり甘えられてないはず。

俺が1番年上なんだからしっかりしないといけない、そう後悔した。