私の心寂しさを、貴方で埋めて。【太宰治】

8:どうしよう…… ページ9

｢電車、行っちゃったね……｣

『ごめんなさい……後もう少しの所で、私が履いていたパンプスが脱げてしまって……これからは、靴にします。』

｢そんなに気を落とさなくて大丈夫だよ、私なんて全然階段上がれてなかったからね。｣

フォローが上手な太宰さん。

そういう優しい言葉を掛けられると、少しホッとするというか、康太と違って安心して過ごしていられるというか……

あぁ！！また私、康太と太宰さんを比べてる……

｢今日、Aちゃんが着ている服も勿論似合うんだけど、今日私が選んで買ったそのワンピースも、きっとAちゃんに似合うと思うんだ。だから───また次のお出掛けの時に着てきて欲しいな。｣

『勿論です！こんなに素敵なワンピース、着ないなんて勿体ないです！！寧ろ、私に似合うワンピースを選んで下さりありがとうございます……！！』

お礼を言うと、太宰さんはクスクスと笑って“Aちゃん君は本当に素直な子だね”と、言った。

太宰さんが、どういう意図で私に“素直な子”と言ったのかは分からないが、きっと何か意味があるのだろう。

｢間もなく電車が到着します〜｣

｢そろそろ電車が着くみたいだね、乗る準備をしようか。｣

『はい！！』

9:心情……→←7:細やかな……

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す