【文スト】文豪学園男子寮3【学パロ】

第73話 ページ8

バチンッという音がした。

嗚呼……私きっと、お婆ちゃんにぶたれたんだ……

ん？ぶたれた筈なのに痛くない……？

じゃあ、あの先刻の音は一体……

｢おい、婆さん……最愛の孫に手出しするとか、度胸あるじゃねェか。｣

｢坊主……御主……後ろにいるAを庇ったな……！？｣

おばあちゃんが言っている通り、中也は私の前に立っていた。

よく見ると、中也の右頬は赤く腫れている。

｢其処をどけ、坊主。私が今用があるのはAなんだよ。｣

｢いや、どかねェ。｣

｢御主も御主で度胸があるじゃないか。ならもう一発、かましてあげるよ！！｣

止めて、お婆ちゃん……

そんなことしないで……中也をそんな目に遭わさないで……

お婆ちゃんのもう後一発が来る前、私は中也の前に立って、お婆ちゃんに言った。

『分かった……私、フランスに行くから！！だから、中也をこれ以上傷付けないで……』

｢Aちゃん、正気かい！？フランスに行ったら、いつ戻ってくるか分からないんだよ！？｣

後ろで、私達三人の様子を見ていた太宰さんが声を荒げて私に言った。

『大丈夫、私に良い案があります。』

｢相坂、手前……｣

”ごめんね、中也“と呟きながら、私はお婆ちゃんに近付いてこう言った。

『フランスには行く。だけど、あと一日だけ此処にいる時間を下さい。』

頭下げて頼むと、お婆ちゃんは仕方がなさそうな顔をしながら、“明日また、迎えに来る”と言い残して、私の元を去った。

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