Sweet memory Ⅳ【中原中也】 (ページ2)

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｢中原君、帰ってしまったね｣

『そうだね……』

｢寂しい？｣

妙子叔母さんの口から、そんな言葉が出てきて、返答に混乱してしまった。

『妙子叔母さん、からかわないでよ』

口を尖らせながら、妙子叔母さんに言った。

妙子叔母さんは“ごめん、ごめん”と謝り、続けて“ちょっとからかってみたかっただけよ”と笑いながら私に言った。

でも、そういう妙子叔母さんも私は好き。

なんだかお母さんみたいな感じで、安心するの。

｢私ね、今日ふと思ったんだけど……中原君、私が思った以上に良い子だったから驚いちゃった｣

『何それ、それだと叔母さん中也君のことを最初悪く思っていたみたいに聞こえるじゃない』

“そうじゃないの”と、叔母さんが言った。

｢唯………｣

『唯……？』

｢やっぱり、何にもないわ。さ、早く中に入りましょう。風邪をひかないうちに｣

後について家の中に入った後、叔母さんは左右にフラついていた。

『叔母さん、大丈夫？』

｢大丈夫よ、少し疲れが出ただけよ｣

“大丈夫”と言うが、ちっとも大丈夫ではない様子。

｢ちょっと水を飲みに行くわね……｣

キッチンで、ガシャーンと言う物が割れた音がした。

私はその音が気になって、キッチンに近付くと……

『妙子叔母さん……？』

妙子叔母さんが、倒れていた。