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猫ちゃん ページ6

出会ったアイツ。ヤンキーの癖して猫好きとかいう、アニメにでも出てきそうなアイツ。
そう、荒北靖友。
アイツは今、目の前で猫と戯れている。

 ごろごろごろごろ。にゃーん。

「なぁ、お前も…見てるぐれェなら触ればァ?」
荒北が言う。
ありがたい誘いだが、丁重にお断りさせていただこう。
「荒北。あのね、あたし猫はだめなのよ」
そう、あたしは猫に触れないのだ。
「ハァ!? んでだよ!」
荒北がただでさえ小さなお目々をさらに小さくして驚いている。そうね、猫好きのあなたには分からないでしょうね……。
「あたしトラウマがあるの。昔小さい頃の話なんだけどね。親戚の家に行った時、いつも庭にかわいい猫ちゃんが居たの。あたし、動物好きだし、撫でたかったのよ。でも、逃げ回っちゃうから触れなくて。無理に追っかけてたら、いつの日か捕まえられて、調子づいて抱き上げたら腕全体を引っ掻かれたわ。それから完全にその子に嫌われちゃって……。あたし、猫ちゃんとの距離の詰め方が分かんないのよ。第一、あたしは犬派なの!」
あたしの話を黙って聞いていた荒北が、ニヤリと口角を上げる。
「フーン。そんなら別に問題ないだろォ。オレが猫チャァンの触り方教えてやるヨ」
えっ。今度はあたしが目を小さくする番。
「ほんと? あたしでも猫ちゃんと仲良くできる?」
私の問いにニィッと荒北が笑った。
「おう、任せろォ!」
  *
 にゃあーん。ごろごろごろごろ……。
今猫ちゃんを奏でているのはあたし。
荒北の教えを実行したら、ほんとに猫ちゃん触れちゃった!
「荒北! ありがとっ。猫ちゃんホントは触りたかったからうれしい!」
満面の笑みで、そう返す。
「お、おう、良かったナ」
お礼を言われ慣れてないのだろう荒北が照れる。
んふふ、荒北と居ると楽しいかも。

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作者名:頭ン中お花畑 | 作者ホームページ:https://x.com/mousouchuu_yume?s=21&t=z5mZsEWoDbXlEacgfXSP6A...  
作成日時:2023年10月20日 0時

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