【刀剣乱舞】成り代わり鶴が本丸で奮闘する話【３】

練度98 ページ3

江雪左文字は争いを好まず平和を重んじる刀剣男士だ。

もちろん刀剣としては珍しいとはいえ、それが悪いことだとは思わない。

しかし、しかしだ。

彼の教育係は小夜左文字。復讐から見出された刀剣。

刀派が同じで便宜上弟ということになっているとはいえ、そんな刀のことを、あの太刀はどう思うだろうか。

「それで江雪にどう接すればいいか分からない、と」

考えすぎだと思うがなぁ、と私はジャガイモの皮をひたすら剥き続ける。

よりにもよって私が当番の日にポテトサラダリクエストしたの誰よ。
大食漢30人分以上作るってなったらジャガイモの量がえげつないんだが？？終わりが見えなくて宇宙が見れそうだ。

意識が大気圏を越えそうな頃、同じく当番の小夜がそんな相談してきた。

今期に入って新刀剣が増え、今や初期顕現組が全員教育係に就いている。

もちろん私も手を離れた蛍丸と入れ替わりで世話をしてる刀剣がいる。
こっちもいろいろ大変なのだが、奴は数日で厨立ち入り禁止刀剣を言い渡されたので今はいない。

「小夜はどうしたいんだい？」

「どうって……」

「君は宗三にも甘えたりしないな？俺は同じ刀派がいないから、説得力がないかも知れんが……兄弟という関係は様々だと思う」

粟田口は傑作である一期を長兄として次兄脇差、末弟の短刀と刀種で分けられている。
薬研という特殊な例もあるが、精神年齢が体に引きづられているということもあるだろう。
兄弟の結束が一番強い刀派だ。

対して国広三兄弟は曖昧だ。
太刀の山伏が長兄なんだろうとは思うが、お互いの呼び名が「兄弟」だし、刀種で言うなら山姥切が次兄だが、堀川の方が兄のようにも見える。
というかあの二振りはお互いに自分が兄だと思ってそう。

彼らは堀川が刀派というより新撰組よりの刀だし、山伏はよく山に行くし、仲はいいが基本それぞれが独立してる感じだ。

虎徹は贋作入れた三兄弟だし、しかも長兄が長曽祢。刀種は蜂須賀と同じで打たれた年代的には年下なのに、だ。
あれは不思議な関係だよなぁ。何故そうなった？

そして言うまでもなく末弟が緩和剤の兄弟だ。
浦島虎徹……うちの本丸はまだ顕現していない。

「同じ本丸内でもこんなにそれぞれ違うんだ。仲のいい兄弟でもいいし、そうでなくても構わないと俺は思うぜ」

「鶴丸さんは、兄弟は仲良くってあまり言わないね」

不思議そうにそう言う小夜に、私はあえて意地悪く笑った。

「言って欲しかっただろう？」

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