練度54 ページ7
私は一度死んだようなものだ。
死因も、いつ死んだのかも、そしてなぜ鶴丸になっているのかも分からない。
けれど私は死んだ身であると認識し、だからこそ、折れるのも怖くないと思っていた。
実際に折られる間際の時も、頭にあるのは仲間の安否、それから敗北の悔しさだった。後悔はなかった。
山姥切に連れて行かれた部屋には主がいて、二人を前にコンコンと怒られた。否、叱られたのだ。
他に選択肢がなかったとは理解しているが、それはそれこれはこれ。
折れるつもりで残ったこと。
それに一人で焦っていたことについても。
少しは頼ってくれ、と。
頼っていた部分は大きい。背負わせていた重荷もあった。
私だからこそ解決できた事柄も多い。
それでも、一緒に戦う事は出来るし考えることも出来る。
「私もまだ全然頼りないだろうけど、一人で背負って悩んで戦わないで下さい」
「俺たちは、仲間だろう」
言葉を探しながら懸命に訴えられるそれに、首を横に振れるものか。
真っ向から向き合ってくれた心を、真っ向から受け止めなくてどうする。
「すまん。それから、迎えに来てくれてありがとう」
心配かけた、迷惑かけたと謝ったばかりで何より大切なお礼を言っていなかった。
今更気付いて礼を言う。
「生きててよかった……！」
「うん、ごめんな主。ありがとう」
それでもこれは戦争だ。
絶対に折れない、もうしないと約束は出来ない。
けど一人で抱え込むことはしない。
それだけは、この鶴丸国永の名に誓おう。
主の部屋を出て深呼吸。
うん、大丈夫、落ち着いている。
「五虎退」
気配を感じることは出来ないが、いると確信して呼ぶ。するとすぐに天井板がずらされて五虎退が降ってきた。
盗み聞きしてたことを咎められると思っているのか下を向いている頭を撫でる。
すっかりこの一年で隠密が板についた。正直忍者みたいでかっこいい。私も短刀だったらやりたかった。
「次に検非違使と戦う時、君にもいて欲しい」
「ぼっ僕は短刀です。また入っていいんですか？」
あの時、戦線崩壊させられた短刀の中でも一番練度が高かったのが五虎退だ。
通常の戦場で短刀が活躍するのは難しいと言えど、彼にだって彼なりの矜持があったはず。
というか、こう見えて私と同じくらいには負けず嫌いな彼なので。
「嫌か？」
「嫌じゃないです！」
即答。いい返事だ。
じゃ、骨喰も巻き込んで作戦会議と洒落込もうか。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
