練度94 ページ47
泣き疲れて寝落ちた鯰尾を布団に寝かせて私は部屋を出た。
「いるな」
天井から小夜が、隣の空き部屋から骨喰が出てきた。
「すまない。兄弟に鶴丸と話すよう勧めた」
ずっと遠目に見られてたのは知ってたけど、私は基本誰かしらと一緒にいるので話しかけられなかったんだろうことは察する。
言ってくれれば時間くらい作ったんだが、骨喰もまさか夜中に突撃するとは思ってなかったようだ。
「まあそれはいい。で、聞いてたな？」
こくりと二振りは頷く。
鯰尾は刀解を望んではいない。ただその理由はまだ戦いたいとかじゃなくて、自責の念からだ
救われるべきでないと思っている。
だから必要とされて喜んだ自分を許せない。でものうのうと還ることも許せない。
鯰尾にとって粟田口は兄弟であり、自分を縛る人質。
従順にさえしてれば誰も折られなかったんだろう。
それもあの反応からして、状況打破派の鯰尾と下手な刺激はしたくない一期で対立してた可能性がある。
もしかしたら鯰尾以外の、人質を取られていた全員と、かもしれない。
「いち兄以外の兄弟とは、あまり話した事がないと言っていた」
そりゃ、本丸の仲間だという意識が薄くても仕方ない。
本丸の仲間はいても、孤軍奮闘状態だったようだし。
さらなる地獄を覚悟して、そこから抜け出すべく一歩踏み出すか、
いつ終わるともしれないけれど悪化はしない地獄に浸かり続けるか。
当事者以外が軽率にこうするべきだ、なんて言えないけれど、少なくとも鯰尾の行動は責められるべきものじゃない。
「生き続けることは兄弟にとって地獄だと思うか？」
「どうだろうな……主の誘いに対する感触は良かったようだが、本人が救いを拒んでる」
「胸に黒い澱みがあるんだ」
小夜がグッと胸元を握った。
「きっと、僕は復讐に取り憑かれてる。苦しい。でも、どこかその苦しみに安心してる僕がいるんだ」
「小夜……」
「僕は復讐から見出された短刀。だからこの黒い淀みも僕の一部。主のことは好きだけど、時々優しさが怖くなる。この澱みが無くなったら、僕は、小夜左文字じゃなくなってしまうんだ。僕が僕である限り、なにがあったって無くなることはないだろう。でも、あの鯰尾藤四郎は違うよね。薙刀から磨りあげられ、焼身になっても再刃されるほど愛された刀だ。澱みを抱える必要は無い」
「僕も、鯰尾にはここで救われて、幸せになって欲しいと思うよ」
私たちは顔を見合わせて頷いた。
まずは本丸の仲間を説得しよう。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
