練度58 ページ11
ちょんと裾を引かれてそちらを見ると、主が一点を見つめていた。
「どうした？」
「鶴丸さん、あの人、違う人です」
あの人、とこっそり指差された方にいたのは布面で顔を隠した男性。
「何が違うんだ？」
「骨格が」
「こっかく」
「よく見えないですけどあの人のバッジって黄の下地に『円』ですよね……？」
確かに黄に円の字だ。
役人は、一目でそうと分かるように個々でデザインの異なるバッジを付けている。
下地の色は部署、デザインはたいていその人を表す物を。花押のようなものだ。名前の頭文字だったり生き物だったり個性が出て少し面白い。
この話を教えてくれたうちの本丸の担当官は水色の下地に菊の花のバッジだ。
だから彼はおそらく対策部の円がつく名前の役人。
一文字ならマドカとか？
「鶴丸さんが目覚めなくなった時、検非違使報告で対策部の方に一度出向いたんです。かなり混雑していて少ししかいられなかったんですけど、その時対応窓口にいた人の中にあのバッジの人がいました。あの人は、その人と別人かと」
「君……いや、今は言うまい。つまりなんだ、成りすましか？」
「詳しく聞かせてもらえるかい？」
こそこそ話していたのが聞こえていたらしい石切丸たちが身を乗り出してくる。
妙に真剣な表情に気圧される主を背に隠すと、ハッとして少し距離を取り直してくれた。
話せるかい？と視線で問えば頷いた主が口を開く。
「窓口にいた人とあの人、髪色や髪型も同じで背格好もよく似ています。でも窓口の人は手が肉厚で指も短めだったんですけど、あの人は指が長い。あと筋が細いです。他にも……」
大きさ、爪の形、手首の骨などマニアック過ぎる差異を並べていく主。出会って一年にして初めて知る新たな一面が手フェチ疑惑とか誰得なんだよ。
しかし花形本丸には重要な情報だった様子。
「お集まりいただきありがとうございました」
会議がいつの間にか終了し、ゾロゾロと出て行く審神者に混じって退室して本丸に帰還する……と見せかけて廊下を素早く曲がり遠回りで会議室の方に戻る。
その途中で私達と同じようにさりげなく流れから外れる審神者を見つけた。向こうにあるのはトイレだ。
少しだけ気になり、主にハンドサインを出す。
会議室付近に戻ってくると、主が別人と断定した役人がイケオジと花形殿を含む数人の審神者と刀剣男士に布面を剥がれ確保されていた。
こちらに気付いた石切丸がバツが悪そうに苦笑した。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
