練度48 ページ1
子供の頃、高熱を出して死にかけたことがある。
親はおらず、家にいるのは弟だけで、熱にうなされる私を半泣きで看病していた姿を朧げながら覚えている。
「死なないで……」
湿り気の帯びた声に「死なないよ」と、薄い意識でなんの根拠もない言葉を返した。
死なないで
死なないで
何度も繰り返される。
死ぬな
目を覚ませ
____________折れるな。
ヒヤリ、と冷たいものを感じてグッと意識が浮上する。
そこで初めて眠っていたことに気が付いた。
やけに重いまぶたをこじ開けると、目に映ったのは金色の瞳。
よく見えなくてゆっくり瞬くと同じ様に瞬いた目の前の瞳からホロリと一粒の滴が落ち、私の頬を滑った。
「鶴丸、」
「……おおくりから？」
鶴丸、鶴丸？……ああ私のことか。
見ていた夢のせいか生前と混同してしまったが、そうだ私は鶴丸国永になったのだ。
目の前にいるのは大倶利伽羅。
同じ伊達の刀で、この本丸では初期顕現組として厨番長も担う最高戦力の一振り。
その大倶利伽羅が、泣いている。
……泣いてっ！！？
「かっから坊！？なっだッどうした何があった！」
ぼんやりしていた頭が一気に覚醒して跳ね起きる。ポトリと額から濡れタオルが落ちた。
起き際に感じた冷たいものの正体はこれか。
あれ、私は看病されてたのか？
「あんたは、」
「ああ」
「自分の心配をしろ！！」
「うぉッすまん？」
すぐさま布団に押し戻される。言葉の荒さとは裏腹に体を押さえつける手付きが優しい。
だからか抵抗する気も起きなくて、大人しく横になった。
彼の顔に先程の涙はもう無く、代わりとばかりに眉間にシワが寄っている。
ふと小さな気配を感じてそちらを見れば打ち粉を持った妖精がおろおろしていて、
今更ここが手入れ部屋であることに気付いた。
「薬研を呼んでくる」
そう言って出て行く大倶利伽羅を見送って、心配かけたらしい手入れ妖精を撫でる。
ようやく思い出した。
検非違使と会敵したのだった。
寝転がったまま天井に手をかざし、握ったり開いたりしてみた。問題なく動く、痛みも無い。
けど、あの痛みを覚えている。
「……てっきり、折れたとばかり思ったんだが」
「どおしてそんなごと言うの！！」
スパーーーン！！と、
大倶利伽羅が出て行ってわずかに開いていた障子が音を立てて開いた。
驚いてそちらを見れば目尻を赤くした伊達男がいた。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
