練度70 ページ23
「国広!!!」
「あっ兼さんただいま!」
ズサーーーーーっ
血相を変えてゲートまで駆けた和泉守を迎えたのは中傷ではあるけれど元気いっぱいに誉桜を舞わせた堀川だった。
和泉守は思いっきりこけた。
「ちょっと和泉守だいじょーぶ?」
「コントみたいだよ」
どうやら一大事というわけではなかったようだ。
それならなぜあんなに賑やかだったのかと首を傾げれば、部隊長の青江が見覚えのない一振りの脇差を持っていた。
あれは……、
「もしかしてそれ浦島虎徹?主が珍しく欲しがってた」
「検非違使どろっぷじゃん!」
なるほど、それで盛り上がっていたらしい。
ところで突然だが、水と油を混ぜる方法を知っているだろうか。
小難しいことを言えば原子や分子といった話になるのだが、ようするに乳化剤……水と油の間を取り持つ物があればいいわけだ。
そうして出来たのがマヨネーズだというのは常識だと思うが、つまり
こういうことだ。
虎徹愛好家に知られたらぶっ飛ばされそうな感想ではあるが、それだけの働きを主が浦島虎徹に期待しているらしい。
大和守安定に聞いて今知った。
けど……つまり、主は虎徹問題を浦島に解決してもらおうとしているってことなのか?
最近主はネットで情報収集するようになった。
それ自体はいいことなんだ。
今までは刀剣に任せていたことにも目を向けるようになったってことだから。
人見知りはなかなか治らず、演練や万屋で人相手に直接とまではいかないけれど、代わりになる努力はしている。
浦島虎徹の情報もそこで手に入れたんだろう。
「鶴丸さん、どうしようか」
おそらく青江も同じ思考に辿り着いている。
たしかに虎徹の真贋という意味では人間の出る幕ではないのかもしれない。
それでも、本丸内の問題という意味では、主が"主"として治めなければならない事柄だ。
というか今のまま丸投げは、さすがに顕現したての刀にかわいそうだろう。
「どうするか……主の真意を俺は聞いていないから」
青江はこの本丸にいる刀剣の中でも主に「主としての振る舞い」を求める傾向の強い刀だ。
私が主に求める「主として成長する事」と見据える先が同じだった。
主は今日、こんのすけ主催の刀剣講座を受講しているはずで、これを提案したのも、青江だった。
343人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「成り代わり」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね!鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜!ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ!好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね!更新頑張ってください! (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜!!続きが楽しみです。 更新頑張ってください! (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ!とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい!更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mokohu | 作者ホームページ:http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時:2020年8月23日 14時