練度50 ページ3
窓の外が暗いし本丸の中が静かだと思ったら私が起きたのは丑三つ時だったらしい。
「君ら寝てないんだろう？俺はもう大丈夫だからきちんと寝な」
作ってくれた粥をありがたくいただいた後、まだ心配そうにしている彼らを宥めてようやっとそれぞれの部屋に帰って行った。
大倶利伽羅に至っては地黒でも分かるほど目の下に立派なクマを飼っていたので、今夜こそゆっくり寝て欲しい。
一応、私は今日はこのまま手入れ部屋で寝ることになっている。
とはいえ先程三日の眠りから覚めたばかりなので全く眠たくない。かと言って電気をつけたままだと薬研あたりに目敏く見つかりそうなので電気は消した。
障子を開けて、外の月明かりだけでも十分に明るいな…と横になりながらぼんやりしていると色々なことが頭をぐるぐると廻り出す。
検非違使。
強かった。予想していたよりもずっと。実際に対峙してみて初めて分かる。
演練で同列や格上と戦うのとは全く違った。
多勢に無勢だったというのはあるけれど、何というか……遡行軍とは違った強さだ。
でも私は、私だけは、その存在をあらかじめ知っていた。
私が油断していなければ防げたかもしれない事態だ。
この本丸で、ここまで重傷を負った刀剣は私が初めてだ。
大倶利伽羅だけじゃない、光忠も、薬研も、主も、あの時一緒の部隊だった短刀たちもだろう。
心を傷付けたのは、検非違使じゃない、他の誰でもなく、この私だ。
練度も上がり、慢心でもしていたか。
数多ある未来の可能性の一つを知っていたというだけで、いつの間にか奴らの実力をも知った気でいたか。
「クソっ」
イライラする。
自分の弱さも、怠惰も、…それでも、あの時の判断を間違っていなかったとしか思えないことも。
「……こんのすけ、いるかい」
深呼吸を一つして意識して気持ちを沈める。
この時間だからダメ元でこんのすけを呼んでみれば、ぽんっと軽い音を立てて現れてくれた。
呼んでおいてなんだけど、こんのすけって24時間営業なの…？
「鶴丸様…！お目覚めでしたか……っよがっだでずぅ」
私を視認してすぐに涙ぐみ、ついにはエグエグと泣き出してしまったこんのすけの、涙で湿った頬を撫でる。
この本丸のこんのすけは泣き虫だ。
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水月鏡像(プロフ) - 私、鶴さん大好きなんですよね！鶴さんって無邪気な真っ白びっくり爺の面と狡猾な平安刀、傲慢な神としての面が混ざり合ってできているのでそこが魅力なんですよね〜〜！ちなみに、白髪キャラってのも好きなんですよ！好きの宝石箱っすね。 (2020年12月16日 20時) (
レス) id: e9ae4c526b (このIDを非表示/違反報告)
イマツギ(プロフ) - 早く続きが見たいですね！更新頑張ってください！ (2020年12月16日 20時) (レス) id: e522761e6b (このIDを非表示/違反報告)
水中花 - すっごい面白かったです〜！！続きが楽しみです。 更新頑張ってください！ (2020年11月6日 21時) (レス) id: 06b16b9783 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - 次はどんな展開になるんだ！とわくわくしながら読んでおります。 (2020年10月31日 16時) (レス) id: f1fabf8b23 (このIDを非表示/違反報告)
mokohu(プロフ) - コアさん» 推しの鶴丸褒めてもらうのとても嬉しい！更新スピード落ちてるけどゆったりお楽しみを (2020年10月30日 15時) (レス) id: 2e4fc5a96b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mokohu | 作者ホームページ：http://nanos.jp/atlant2d/
作成日時：2020年8月23日 14時
