三百四十八話 ［種明かし］ ページ2
福地の脳内に存在するのは混乱の二文字だろう。
死んだはずの、遺体すら見つかったはずの少女が何故生きているのか、そしてそれが何故立原と共にいるのか。
「何故、魔女の娘が生きている。遺体が見つかったはずだ」
「あれは此奴のじゃないんですよ」
「…立原、お前、知っていたのか」
「ヘマしちまって、庇われたんですよ俺。
その傷がなかった。…ま、俺しか知らない傷だったんでね」
立原は肩をすくめて見せるが、福地の目は驚きに染まったまま。
「何故、此処が…」
「渡した記憶素子、偽物です。
位置発信機だ…潜入捜査官っぽいでしょ？」
悪戯小僧のように笑う立原に、福地は問いかける。
「疑っておったのか、最初から」
だが、立原は答えた。
毛ほども福地を疑っておらず、疑っていたのは首領である森である、と。
森は立原が潜入捜査官であると気付いていた。
その上で命令したのだ。
「二重間諜となり、世界の敵を撃滅せよ、ってな。
その中で此奴と手を組んだ。それだけのことです」
「…成る程、魔女の娘と組んだ、か…」
福地は手の中の記憶素子を破壊し、立原を真正面から見据える。
録音機もかねている記憶素子は音声が軍警監査部が聞いていて、福地は文字通り終わりなのだと。
「…、一つ聞きたい、魔女の娘」
おもむろに福地がずっと黙っていたAへと目を向けた。
彼女は福地を冷たく見据え、そして首を傾げて見せる。
「なにをお聞きになりたいので？…偽りの英雄様」
「…何故立原と組んだ」
魔女の娘が生きていたのなら、真っ先に探偵社を頼るのが先であると思っていた。
仲間である探偵社と合流し、作戦を立てた方が合理的だと。
しかし彼女はそうしなかった。
単身で動いている立原と手を組んだ。
「君と立原に交友関係はなかったはず。
何故立原にした？何故探偵社を選ばなかった？」
福地の、尋問にも来た言葉の羅列にAは僅かな苛立ちと腹の中で渦巻く激情を感じ取った。
「…そんなの、政府の人間である貴方が一番ご理解されているのでは？」
「…なに？」
「魔女の娘、そんな肩書きがついている私が、今この状況で探偵社の側にいれば貴方達は躍起になって私を消しにくるでしょう？」
Aは知っている。
自分の立場がどれだけ悪いのか、
政府機関でなんと言われているのか。
「心中ですよ」
「は？」
だからこそ、立原を選んだ。
「私と彼は、心中予定なんです」
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あじのもと - 二年ほど前からこの作品推させて頂いてます！！ふふふ、まだ完結じゃない匂いがしますね……！！！(泣)もこすけ様ならこんな、こんなジャ◯プの打ち切り作品みたいな終わり方はしない筈……！！(これで完結していても十分素晴らしい作品です！！！！！！！) (4月2日 0時) (
レス) id: fe3da03f44 (このIDを非表示/違反報告)
syaze(プロフ) - もうめちゃくちゃ好きなお話です！！求めていた理解者がまさかの立原とは！最高オブ最高、言葉にできないほどの尊さで悶えてます！二人の関係が尊すぎる！！！！！！続きが見たい〜〜〜！！！泣 (3月26日 23時) (レス) @page25 id: 6cd36c532f (このIDを非表示/違反報告)
グミ食いてぇ、、、 - もっもしや夢主ちゃん本当に死んじゃった、、、！？夢主チャァぁぁぁぁぁぁぁぁん！！！！！ 此の作品は完結でしょうか？ (12月5日 18時) (レス) @page25 id: 964781dab2 (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - コメント失礼します、最近文ストにハマってこの作品に出会いました。完結なのでしょうか？続きと、番外編を楽しみに待っています！ (11月7日 13時) (レス) @page25 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
神月ティアナ(プロフ) - 完結されてますけど更新てされますかね？アニメの方も5期続編まで放送されてましたねブラム・ストーカーと文ちゃんとの絡みが気になります！番外編の方も更新されないかウキウキしてます。更新されるまで気長に待ってます (10月26日 19時) (レス) id: 7ac5013380 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2021年9月18日 13時
