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黒と白、灰色 ページ26

ガスで大爆破を起こす。
自分はそれまでに爆発範囲の外に出るから良いが、
爆発の中心にいる彼らは無事では済まない。



『もし生きていたら本部ビルでの戦闘に参加してしまう可能性もある』



悪魔が耳元で囁いた。
殺してしまえ、仮に死んでしまったとしても誰も気づかない。
これからのことを考えれば、対立する可能性もある彼らを生かしておけば今後危険になる。
事故死、その扱いで始末する絶好の機会なのだ。
夏目の協力者に「殺すな」と云っておいて、このザマだ。



ーはじめに襲撃して来たのは彼らだー



ーでも殺す事が本命では無かったー



ーポートマフィアだ、芥川の妹を拐ったー



ーだがそれは私が裁いていい問題ではないー



ーこれからの事も視野に入れ、始末してしまえー



半端な覚悟でこんな戦いをしていない。
芥川とてそうだろう、彼は覚悟をした上でポートマフィアの本部に向かった。
己が手を血に染めても、妹を取り戻したいから。



『私だってそうだ、仲間を守りたい』



その為に、危険な芽は摘んでおくべきではないか?
いや、摘むなんて生温い。



『もう二度と起き上がらないように踏み潰さないと』



この時自分がどれほど醜い顔をしていたか、想像は難しく無かった。
邪魔だから蹴落とす、だって、敵だから。



『引き金を引け、簡単だ』



戦闘が得意でない私が、彼らを始末できる機会は今しかない。
境界線なんて踏み越えてしまえ、未来の為、自分自身の為に。



ー君は綺麗なままでいてー



なのに、なんで今そんな言葉思い出すの。
なんで、私は躊躇ってしまうの?



『嗚呼、私は臆病者だ』



殺したくない、今目の前にいる彼らを殺すのは嫌だ。
人生という物語を歩いてきた彼らの記録を断ち切りたくない。



『ごめん芥川、私、貴方みたいに強く無かった』



覚悟はあった、一線を超える事も出来た。
自分の歪んだ本質なら、やれた。
でも、心がそれを拒んだのだ。
殺したくない、誰も死なせたくないと。



「さようなら…『解除』」



それが、あとから自分の首を絞めることになったとしても、
あの時彼らを見捨てることは出来なかった。
神々の国の首都を解除すれば、異能で爆発を防げるから解除した。



『黒にも白にもなれない、中途半端な灰色だ』



それでも、誰も死なせたく無かった。
その想いだけが、少女の全てだった。

高潔なその姿は→←特大の罠を仕掛けた



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ゆんこ(プロフ) - 夢小説で初めて泣きました…3周くらいしても毎回泣いてしまいます、! (9月11日 0時) (レス) @page50 id: ea003ef446 (このIDを非表示/違反報告)
蒼真 - ほんとにすごいです…何回も読み返しています…その度に泣いてますよ…ほんとに天才だと思います。いやこれまじでアニメ化して欲しい。小泉ちゃん大好きです!!!! (8月19日 15時) (レス) @page50 id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑(プロフ) - 本当に久しぶりに物語を読んで泣きました!すごく心に響いて毎度毎度わかっているのに泣いてしまいます。この物語を描いてくださってありがとうございます! (8月14日 15時) (レス) @page50 id: d710d605b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - 1年ほど前からずっと本編も番外編もBRASTも読み返しています🥹一つ一つの表現が素晴らしすぎて、同じく小説を書いているのですが勉強させてもらってます。ずっと応援し続けます! (2022年10月27日 12時) (レス) id: 83a944f022 (このIDを非表示/違反報告)
桜月(プロフ) - 本編、番外編を見てから来ました。二人のやりとりが本当に儚くもあり、切なくもあって、、本当に涙無しでは読めないくらい感動しました。素敵な作品に出会えて本当に良かったです!このような素敵な作品をありがとうございました。 (2021年9月21日 20時) (レス) @page50 id: df8a2b67ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年11月9日 21時

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