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重力操作の襲撃者 ページ35

騒めきが広がる中、箕浦が声を上げる。



「おい、どういうことだ?重力を操るとは」



Aは静かに天井を指さした。



「まず第一に、監視カメラに何も映っていなかったという点。
出入り口にも仕掛けられていたのに、どれも壊された。
普通ならあり得ない事ですが…こう考えれば辻褄が合う」



指先をそっと唇に近づけ、内緒話をするように囁いた。



「監視カメラは天井が死角。
つまり…天井を歩き、監視カメラを破壊すればこの犯行は可能なんです」



「天井を歩く…そんな事」



「"普通"なら出来ません、しかし…異能は様々な種類存在する。
その中には重力操作くらい…ある」



乱歩の方をチラリと見ると、彼は楽しそうに笑っていた。



「それを裏付けるように、遺体は全て何かに潰されていた。
…例えば凄まじい重力を上からかければ、肉体はどうなるでしょうか」



「押し潰され…耐えきれずに死亡する…」



現場にいた若い刑事が青い顔で呟いた。
地面に広がる赤のシミに、何人かが気分が悪そうに目を逸らす。



「つまりこの事件の犯人は異能者、重力操作関連の異能を探していけば犯人は見つかるでしょう」



静まり返る現場。
そんな中、手を叩く音が響き渡った。



「あっはっはっはっ、及第点だよ助手君!」



バシバシと背中を叩きながら乱歩は笑う。
お気に召した答えが出てきて、満足しているようだ。



「だけどまだ甘いねぇ!僕の足元にも及ばない!」



乱歩が取り出したのは、監視カメラの映像。
首を傾げてそれを覗き込む。



「君は、犯人がどんな者か推理できてない」



「…あ」



そうだ、具合的な人物像が推理出来ていなかった。
ならば乱歩は気付いているのか、そう聞こうとした時、



シャラ…



監視カメラの映像に、なにかの音が入っている事に気付く。
一瞬そちらに意識が向いた瞬間、箕浦の携帯が鳴った。
彼は失礼と云い電話に出て、



「なっ、何故ですか!捜査打ち切りなんて!!」



その言葉に、現場は騒然とする。
犯人は異能者だということも割れているのに。



「君を連れてきた本当の理由は」



乱歩の声は静かだった。



「この街の恐ろしさを知ってもらう為だよ」



ヨコハマという、魔都。



「これで判るだろう」



圧倒的な力を持つ者が歩くこの街で、彼女を死なせない為に。

理不尽な現実→←押し潰された赤の現場



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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです!!! (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー!この後の展開が楽しみすぎます!これからも頑張ってください! (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年10月14日 18時

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