もう一つの歯車が動き出す ページ14
『あの人が居ないの、あの人が、何処にも』
かつて、熱を出した自分は父親にそう云っていたそうだ。
幼い娘が譫言のように誰かを探す姿は、父親にとってさぞや心臓に悪かっただろう。
『でも、私は誰かを探している、そんな気がする』
探偵社は市警や裏社会の情報を得やすい、と国木田は云う。
だがこの広い街で人一人探すのは容易では無いと谷崎が語ると、不適に笑ったのはナオミだった。
「皆様、何を仰っているの？」
ナオミは芥川の方を向く。
「芥川さん、貴方は本当に賢い選択をなさったわ。
何故って、行方不明の妹さんを捜すのなら、
探偵社よりも適した組織は世界中のどこにもありませんもの」
「それは、どういう…」
Aの言葉に、ナオミは更に微笑む。
「だって、探偵社には、"あの方"がいらっしゃるんですもの」
「あ」
「そうか…慥かに」
「その通りだな」
芥川とAが訳が判らないとでも云うように顔を見合わせる。
ナオミは自信満々に云った、妹は見つかったも同然だと。
「それじゃ、参りましょう。
ご紹介いたしますわ…世界一の名探偵を！」
二人の新人の運命が動き出した頃、同じ街で、また一つの運命が動き出していた。
「君の次の標的は…武装探偵社だ」
ヨコハマが一望できる一等地に建てられた、ポートマフィア本部ビル。
その最上階の玉座に座る男は、つい先程、敵を殲滅した遊撃隊隊長の少年に命令を出す。
白い髪に幼い顔立ちの少年は、その命令に恭しく頭を垂れた。
「期待しているよ」
今やヨコハマだけでなく日本全体に影響を及ぼす組織となったポートマフィア。
その頂点に座る男は、ふと、思い出したように口を開く。
「一つ、命令がある」
男は、自身の後ろに控える秘書、銀から一枚の写真を受け取り、少年に渡した。
そこには、黒いセーラー服を着た美しい紫の瞳の少女がうつっている。
「この少女とは関わってはいけない」
「…何故でしょうか」
「異能を操る、厄介な異能者だからだ」
その言葉に少年は目を見開く。
異能集団ならば欲しいはずのその異能者に関わるなと云う首領も含めて。
だが、彼は再度云った。
「何があろうと、この少女に関わってはいけないよ。…いいね？」
何処まで見えているのか判らない、片方が包帯に覆われた目でそう告げた。
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もこすけ(プロフ) - ちょこれーとさん» コメントありがとうございます。続編が出ましたので、そちらも宜しくお願いします。これからもこの作品をよろしくお願いします。 (2019年11月9日 21時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 今日めっちゃ更新多くて嬉しいです！！！ (2019年11月9日 20時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - azukiさん» コメントありがとうございます。一回目、そして二回目は…。今後の展開にご期待ください。読んでくださりありがとうございました。 (2019年11月4日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
azuki(プロフ) - 本当の笑顔…今回が一回目で、二回目は……あー！この後の展開が楽しみすぎます！これからも頑張ってください！ (2019年11月4日 8時) (レス) id: 2de50b2480 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - にゃんこさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます。そんな風に言ってもらえて嬉しいです。今後も頑張る力が出ました。これからも応援よろしくお願いします。 (2019年11月3日 9時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月14日 18時
