唐紅の白雪姫 ［あづき様リクエスト］ ページ10
(これは、もしAが紅葉の部下だったら、という世界の話です)
その娘は、その場にいる誰よりも美しかった。
「…」
姉貴分である紅葉の元を訪れた中也は、
彼女が気に入っている唐紅の庭で、着物姿の娘を見た。
黒髪を簪で結い上げ、藤色の着物を着た、美しい娘。
身につけているものから、紅葉の関係者であることは予想できた。
『姐さんの部下か？』
彼女ははらはらと舞い落ちてきた、もみじを手にのせて物憂げな表情をしていた。
影が落ちそうなほど長い睫毛が、着物と同じ色の瞳を怪しく見せている。
綺麗だ、と素直に中也は見惚れてしまった。
「中也、来ておったのかえ？」
後ろから声をかけられ、ハッとして振り向く。
そこには美しい女性、尾崎紅葉がいた。
「なんじゃ、ボーッとして」
「いや、今そこに…」
中也が再びあの娘の方を向くと、そこには誰もいなかった。
「…いや、なんでもありません」
きっと、疲れていたせいで幻でも見たのだろうと中也は忘れることにした。
その後、紅葉と今後について話した後、再びあの娘を探したがやはり居なかった。
「…はて、中也はなにを探しておったのかのう」
紅葉が不思議そうに呟くと、心地よい風が一際強く吹いた。
すると、肩にふわりと羽織がかけられる。
「紅葉様、お体が冷えてしまいますよ」
笑えばさぞや美しいであろう娘が、相変わらず冷たさすら感じさせる表情で紅葉に羽織をかけた。
出会った時と比べれば、表情は柔らかいだろうが、まだまだだ。
「はぁ…お主はもう少し笑えば可愛いはずなのにのう…」
娘は「うっ…」と呻いた後、ニコリと笑ってみせる。
だがそれは所詮作り笑いで、腹の奥には「笑いたくも無いのに笑えない」と云っているようである。
「まあ良い、…仕立てさせた着物、よく似合っておるのう」
「その節はありがとうございました」
「鏡花と並ぶと尚愛いのう、ふふ」
紅葉は着物の袖で口元を隠して楚々と笑う。
美しいものを飾るのはやはり楽しい。
「Aや、お主は本当に美しいのう」
その娘の名は小泉A、
ポートマフィア五大幹部の一人、尾崎紅葉の部下にして、異能操作の異能者。
「ところで、さっきまでなにをしていたのじゃ？」
「…帯の締め付けがキツいので立って耐えてました」
「慣れよ」
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シア - 続き楽しみにしてます！！ (1月4日 15時) (
レス) @page50 id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - もこすけさんが戻って来てくれたら嬉しいです‼‼‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - この作品はとても面白くて大好きです‼‼‼‼特に猟犬との絡みが見ててとても面白くて楽しいです‼‼‼‼文章力がとても高いので作品に引き込まれます！最近はこの作品をモチベーションにして頑張っています‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
絵の具セット - 番外編もめちゃくちゃ面白いしキュンキュンします！！これからもがんばってください！！！更新再開待ってます！！ (2023年4月10日 20時) (レス) id: b2c10b1855 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラ - とっても面白かったです！続きまってます！ (2023年4月8日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月13日 19時
