＊ ページ35
探偵社には、何人かの先輩がいる。
個性がありすぎるメンバーの中で、Aが先輩としてかなり親しい関係にあるのは太宰治だ。
『状況をひっくり返せる技を教えよう』
そう云った時の太宰は、悪い大人の顔をしていた。
そして、話を聞き終えたAは心底引いた。
『えっぐ…』
同じく話を聞いていた敦は『えぐい…』と呟いた。
今からやるのは、それである。
『まあ、成功するかは五分五分として』
Aは、目の前の二人を近づけさせないように距離を取りつつ、
ポケットから液体の入った小瓶を取り出した。
『やるしか無い』
中身は紫色の液体。
それを躊躇いも無く飲み干す。
同時に、奥歯に仕込んでいたものを思い切り噛み潰した。
「ごほっ」
瞬間、Aの口から血が吹き出した。
敦が顔を覆い、芥川が絶句する。
彼らも、目を見開いて言葉を失っていた。
ボタボタ
口から血が落ちる。
そのまま咳き込み、膝をついた。
「ゲホッ…」
敦に目だけで合図を送る。
彼の顔は引きつっていた、当然だろう、私もこれをやられたら引く。
「お、い…君、大丈夫か！」
炎のような男が焦ったように叫ぶ。
そして、もう一人の男が何かに気づいた。
「あ、逃げやがった！！」
敦と芥川が走り出す音がする。
良い頃合いだろう、Aはフッと笑う。
ドサリ
華奢な体が地面に倒れる。
炎のような髪の男、煉獄は急いで少女に駆け寄る。
彼女は体が弱いのだろうか、先ほど飲んだのは毒なのか、
血を吐いて倒れた少女の心音を確認した煉獄は、
逃げ出した者達の音を逃さないようにしている男、宇髄に静かに云った。
「脈がない」
宇髄の顔が歪む、あれは毒だったのだ。
煉獄は労わるように少女の体をそっと地面に寝かせ、体に炎のような羽織をかけた。
「あの二人を追うぞ」
「…おう」
二人は夜の森に消えていった。
その、数秒後。
「…」
むくり、と倒れていた体が起き上がった。
かけられていた羽織を丁寧に折りたたみ、その場に置く。
「ッ、」
口の中の血をベッと吐き出し、唇を拭う。
そして月を見上げ、静かに呟いた。
「下山しよ」
Aは彼らが消えた方向とは逆方向に歩き出した。
数分前まで心臓が止まっていたとは思えないほどピンピンしている。
『秘儀"心臓止め"さ』
太宰直伝の技の効果に、Aは若干苦い顔をするのだった。
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シア - 続き楽しみにしてます！！ (1月4日 15時) (
レス) @page50 id: 5afea0a2a0 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - もこすけさんが戻って来てくれたら嬉しいです‼‼‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
巫女 - この作品はとても面白くて大好きです‼‼‼‼特に猟犬との絡みが見ててとても面白くて楽しいです‼‼‼‼文章力がとても高いので作品に引き込まれます！最近はこの作品をモチベーションにして頑張っています‼‼ (8月2日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
絵の具セット - 番外編もめちゃくちゃ面白いしキュンキュンします！！これからもがんばってください！！！更新再開待ってます！！ (2023年4月10日 20時) (レス) id: b2c10b1855 (このIDを非表示/違反報告)
アスパラ - とっても面白かったです！続きまってます！ (2023年4月8日 22時) (レス) id: 31d4d35068 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2019年10月13日 19時
