【文スト】この世界と番外編 その十六

探偵社&マフィア、人狼ゲーム ［緋華様リクエスト］ ページ14

人狼ゲームなる遊戯をご存知だろうか？
各々がチームに分かれ、頭脳戦を繰り広げるゲームだ。






「それを探偵社、マフィアでやる、と」







ここはヨコハマ某所のパーティルーム。
何故か企画されたのは二組織による人狼ゲーム。







「何故？」







Aは司会者を名乗り出た女、
ニコニコ笑いながら「逃亡したら上空五千メートルに転送しますから」ととんでもない発言をかました女…もとい、雪に問う。







「そうですね、理由としては」







過去から来た彼女はAによく似た美しい顔を綻ばせた。







「びっくりするほど暇でしたので」







「びっくりするほど暇でしたので！？」








「私が参加しても面白いのですが、
今は目の前で皆さんが右往左往するのを見たい気分です」






とんでもないドS発言をかました雪に、森は「昔と変わってない」と呟き、福沢は「まだ可愛い方だ」と眉間を押さえた。
ちなみに、各組織のトップは別室でモニタリングしている。






「いいんじゃない？ほら、前回Aちゃんとんでもない暴れっぷり披露したし」







「なんじゃ、Aがなにかしたのかえ？」







「凄かったんですよぉ、姐さん。
Aちゃんってば、市民でも人狼でも無い妖狐で、
会議を散々引っ掻き回すわ占い師を騙すわ悪役顔負けの手腕披露するわで
しばらく探偵社で人狼ゲームやったら真っ先に疑われるようになったんですよ」






それを聞いたマフィア勢はAの方を同時に向く。







「誠に遺憾である」








「いや、アンタ一回人狼になった時、味方だった谷崎と敦即切り捨てて一人勝ちしてたじゃないか」







与謝野の言葉に立原は「えげつねぇ…」と引いた顔をする。
あれは仕方ない、だって二人とも善人すぎて人狼に向いてなかった。
故に切り捨てた、それだけだ。







「まぁまぁ、このお嬢さんの武勇伝はここまでにして、
これからカードを配らせていただきます。
そこに書いてある役職が…貴方の運命です」







雪は手慣れた仕草でカードをシャッフルする。
そしてそれを宙に投げたかと思うと、パチンと指を鳴らした。
瞬間、それぞれの目の前にカードが置かれる。








『今回は、どの陣営だろう』








そっと手を伸ばし、カードをめくった。
瞬間、Aは口元が引きつりそうになった。








『またやりにくい役職だ…』








雪は、カードを確認するプレイヤー達を何処か楽しそうに見つめていた。

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