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ページ46

Aが雪のような性格になった。
異能力者曰く、『その者が一番なりたいと思った性格になる』異能らしい。
福沢は思った、なんてことをしてくれたと。







「あら太宰さん、こんにちは」







ニッコリと笑って太宰に挨拶をするA。
その笑みは美しいのだが、貼り付けたような感じがした。
太宰はボソッと「この性格は苦手かもしれない」とぼやく。







「社員総出で異能の解除法を探せ」







福沢の指令で、皆が解除法を模索する。
その間Aは…くだんの異能者を尋問していた。
嬉々として個室に行った時、福沢は







「あの人だな…」







と改めて思った。
しかも部屋から異能者の悲鳴と、Aの楽しげな声が響いていた。







「早くせねば、雪さんの性格は少し…」








「私の性格がなんですか?」








福沢の後ろから、聞きなれた声がした。
振り向くと、そこには白いワンピースの少女が、福沢の社長椅子に座り、微笑んでいた。
福沢のかつての友人、雪がそこには居た。







「ゆ、雪さん…」







「私が…なんですか?」







雪はうふふと笑いながら立ち上がる。
福沢はそっと目をそらした。







「なにやらお困りのようで…お手伝いしましょうか?」







「貴女が…か?」








「あら、私こう見えても人の役に立つのは好きなんですよ」







嘘だ、福沢はスッと目を細めた。
雪が好きなのは相手が感謝をする言葉より、泣いて懇願する声の方が好きなのだ。
ついでに、かつて彼女は『プライドが高い人間の矜持をズタズタにして、
跪かせた時は中々に気分がいい』と云っていた。








「例の少女が私のようになってしまったとか…
容姿も似ているのに性格も似てしまっては見分けがつきませんね」







「治す方法は、あるのか?」








「頭を強めに叩けばよろしいのでは?」







「古いテレビではないのだぞ」








「冗談ですよ。まあ、考えはあります」








そう云うと、雪はAが異能者を尋問している部屋に消えてしまった。
もしこれで本当にAが治るのなら、と福沢は思っていたが。







「うふふ、さぁ、泣いてごらんなさい」







「あら、気絶してしまいました」








「まあ大変、どうしましょう」








「可哀想に…ここに医務室から拝借したアルコールがあります」








「まあ素敵」








そんな声が聞こえた後、福沢は静かに壁に頭を打ち付けた。

*→←同じ性格の母娘だったとしたら [misa様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» 恥ずかしさが上回り、凶暴化する小泉なのでした。ご質問ありがとうございました。 (2019年12月22日 19時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - なるほど可愛らしいところもあるけどそれ故に凶暴なんですね!返答ありがとうございました。 (2019年12月22日 18時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - anonimas594さん» コメントありがとうございます。はい、ききます。ですが本人も理解しているので近づかれた瞬間相手は宙を舞うでしょう。あと場合によっては殴られるので誰も小泉にやろうとしません。 (2019年12月22日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
anonimas594(プロフ) - コメント失礼します!ものすごく気になったことなので質問します。小泉ちゃんって脇腹ききますか?! (2019年12月22日 13時) (レス) id: ae39e9e256 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 姫歌さん» ありがとうございます。私もとても楽しかったです。またコラボしましょう。ありがとうございました! (2019年8月17日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年6月16日 20時

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