【文スト】この世界と番外編 その十五

白衣の迷い犬達 ［白織様リクエスト］ ページ33

(こちらは文ストの医療パロディとなります)






「またですか貴方はぁぁ！！」







ある日の昼間、ある民間病院の一室。
医師達が休憩する部屋にて、一人の医者の声が響く。







「また！！貴方は！！私の！！患者を！！」








「あっはははは」







「いいぞA、そのまま絞め殺せ！！」








「Aちゃん落ち着いて！！」








黒い髪を短く切った女医が、一人の男の医者の肩を掴んでガクガクと揺さぶっている。
彼女の名前は小泉A、小児科医の敦と同い年ながらも非常に腕の良い外科医だ。
普段は凛として美しい女なのだが、寝不足や疲労がたまるとマフィアのような顔をすると噂の外科医だ。






「なんだいなんだい、まぁた太宰がAの患者ぶん盗ったのかい？」







「ぶん盗っちゃいました」







「こンの唐変木！！」







「Aさん荒れますわね」








「ナ、ナオミさん押さえるの手伝って！」








「私、これから兄様のお手伝いに行きますの」








看護婦である女性、ナオミはさよならぁと云いながら立ち去ってしまった。
彼女には内科医の兄がいる、彼は今この場には居ない。
敦は、キレるAを押さえながら泣きそうになった。






「A、アンタも落ち着きな、太宰に患者盗られるの一回や二回の話じゃあないだろう？」







白衣が似合う美女、与謝野はケラケラと笑う。
彼女もまた外科医であり、噂では軍医も務めたとかなんとか噂されるが、詳細は定かでは無い。
治療は痛いが、その分どの医者よりも治りが早いと評判の女医だ。







「だから悔しいんですよ、私が手術して、治そうと思ってたのに…！！」







珍しく感情を表に出すAの肩に、国木田の手が置かれる。
小児科医である彼は、同じく小児科医の敦の上司に当たる医者だ。
彼もまた、Aの苦労がよく判る。







「気持ちは判る…だがあまり騒ぐと俺のように胃に穴が開くぞ」







「えっ国木田君胃に穴が開いた話本当だったの！？」








「貴様のせいだ！！」








国木田に怒鳴られた男、太宰治はくすくすと笑う。
彼こそ、Aの上司にして天才外科医、
かつて有名な大学病院にいたが何故かこの病院にやってきた、ジサツが趣味という変人だった。







「いや、だって、私の方が腕いいし」








太宰の、Aのプライドに火をつける発言により、
休憩室では再びAの怒号が響き渡ることになる。

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