【文スト】この世界と番外編 その十五

＊ ページ14

占い師が二人、それだけでも場は混乱した。
国木田も相手がAだとは思っていなかったらしい。






「では、次に霊能者だと云う方」






春野の問いかけに、またしても二本の手が上がった。







「おやまぁ」







「あれー？」







手を挙げたのは与謝野と賢治だった。







「霊能者って二人いるんですね！」








「違うよ賢治、妾かアンタのどっちかが嘘つきなのさ」







これはキツイ。
与謝野を疑えば後から怖いし、賢治が嘘をついているとは考えたく無い。
どっちを疑っても地獄だ。







「ふむふむ、これは面白くなってきたねぇ」








「ふぅん、変な役分担になったな」








太宰と乱歩、この二人は重要マークだ。
名乗り上げなかったことから、この二人は役職は無い。
そう、"建前としては"。







『とりあえずこの二人は最重要マーク。
そして…占い師の次に大切なのは恋人か…』







騎士は名乗り出ない、恋人も。
となれば名乗り出た四人以外での投票となる。







「じゃあ誰に投票する？」







「敦ィ、アンタさっきなんか怪しくなかったかい？」







「ぼ、僕ですか！？」







「その流れで行くと谷崎も充分怪しいよー」






「乱歩さん！？ボクはそんな…ねぇナオミ！」






ラチがあかない。
下手に敦を殺されてもまずい。
ならば、






「とりあえず今日の追放は無しにしませんか？」








「初日は追放無しも可能…というルールを使うのかい？」







「下手に把握できてない今、人狼以外を追放するのは危険です。
なら、夜のターンで騎士が誰を守るかに賭けてみません？」







「…成る程ねぇ」








太宰が目を細めて笑った。
その笑みに、一瞬ゾッとする。
まさか、見抜かれている？







「良いんじゃない？それが最適解だ」








太宰はニッコリ笑った。
それに同調するように皆も頷く。








『油断ならない人だ…』









その日の投票は、皆右隣の人に投票し、同票数による処刑無しに終わった。
そして、夜のターンが来る。







『私は恐らく"大丈夫"だろう。
わざわざ占い師候補を殺せば疑われるのはあちらだろうし…』







夜のターンが終わり、朝のターンになる。







「朝になりました、犠牲者の発表です」








春野の声に緊張が走る。









「犠牲者は…谷崎さん、ナオミちゃん」








二名死亡、その事実に皆は目を見開いた。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す