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死の家の鼠、頭目、そして側近。
別世界の自分の口から出てくる、衝撃を受ける肩書きの数々。






「死の家の鼠…?」






「…信じられないって顔だな」






「当たり前だ」







あの男の組織?それに側近。
引きつった笑いすら溢れてくる。







「魔人の…仲間になったってことか?」







「私はあの人に救われた。だからあの道を選んだの。
…私からしたら、貴女はとても正気とは思えない」







侮蔑の色すら浮かべた瞳でAは、自分はこちらを見据えてくる。
自分なのにまるで別の人間のようで、ひどく気持ちが悪い。






「探偵社に所属してるなんて…、自分がどんな部類の人間か判らないの?」






「…それでも、私はこちら側がいいと思った。
光の当たるところで、自分の意思で生きると」







「…生ぬるいことを」







「好きなように云えばいい」







少し選んだ道が違うだけで異なる自分。
それに抱くのは憐憫ではない、ただの嫌悪感だ。







「偽善的な立場は心地良いようでなにより」







「地下の生活はお気に召した?」







同族嫌悪、互いに譲れないものがあるからこそ理解など出来ない。






「それで?鼠さんがこちらの世界に何の用」







「…あの人は、異能がない世界を創ると云った。
だから私はその為にはなんでもする…例えば、どうやったら探偵社を壊せるか実際に試してみるとか」







「!」







怒りで目の前が真っ赤になった。
気づけば、拳銃を目の前の自分に向けていた。







「こちらの世界で実験して、元の世界で試してみる…最適解だと思わない?」







「仲間に手を出したら、殺す」







もはや手加減する理由など無かった。
紫の視線が交差する。







「…誰にも矜持を傷つけられない生き方ってなんだと思う?」






「は?」







「利用され、翻弄され、最後には捨てられる。
そんな人生を変えるのに必要だったのは…」






いきなり、黒い外套を投げつけられた。
反射的にそれを払いのけると、そこには既に人影はない。







「ッ!」







目の前に、少女が迫っていた。
月明かりに反射するのは、冷たいナイフ。







「甘さを捨てた力だ」







次の瞬間、暗闇に赤い花が咲く。
真っ赤な液体を頬につけた少女は、月を見つめて口角を上げた。







「あの人の望む世界の為に…」







黒い服を纏う黒鼠は一人微笑んだ。

*→←その少女、正真正銘黒鼠 [瀬那様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - あさん» ご指摘ありがとうございます。その通りでございます。直しておきます。ありがとうございました。 (2021年11月8日 17時) (レス) id: 102f3088ed (このIDを非表示/違反報告)
- すみません、「あの娘は誰の子?」の小雪ちゃんのセリフで「私は過去から来たんだよ」と言っていますが「未来」の間違いではないでしょうか私の勘違いや解釈違いであったら申し訳ありません (2021年11月7日 17時) (レス) @page32 id: b7271b87d8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 折角のお話、申し訳ありませんでした。応援のお言葉、ありがとうございます。これからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ワンコソバ(プロフ) - そうでしたか…。残念ですが、それからのもこすけさんが書く作品を楽しみにしてます!頑張ってください!(^○^) (2019年5月4日 20時) (レス) id: c31389e4fc (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ワンコソバさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます。そういった応援はとても嬉しいです。リクエストなのですが、現在締め切っております。他作品とのコラボも、基本的にご本人様からのリクエストのみ受け付ける形となっています。折角のお話なのに、申し訳ありません。 (2019年5月4日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2019年4月6日 19時

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