【文スト】この世界と番外編 その九

＊ ページ4

Aの地雷を梶井が踏み抜いた。
梶井は立原に泣き叫ばれていた。






「えー、ここで報告」






そんな空気を破り与謝野が云った。
それは大乱闘に発展する通達。






「これより全ての陣地の境界線を無くす。
双方のチームが敵陣地に入ろうが構わない」







瞬間、先に動いたのはマフィア陣地の芥川だった。
探偵社陣地に入り込むと、まず谷崎を仕留めた。
谷崎が「僕なにも活躍してなッ…ぐふっ」と云って気絶し、ナオミに連れていかれた。






「芥川ァァァ！！」






「人虎ォォォ！！」







ぶつかり合う白と黒。
一瞬の間に、中也の枕を食らった賢治が離脱。
そして敦も芥川の不意打ちの枕を食らって脱落となった。






「探偵社、三連続アウトですわ」






「ふむ、この勝負マフィアの勝ちか…」






「いや、そうでもないみたいだ」






大乱闘となったところのど真ん中、敦を仕留め不敵に笑う芥川の死角に回るのは、A。
死角からの攻撃に芥川が身体を捻って避けるが、それを予測していたAは
反対の手に持っていた枕を彼の脇腹に叩き込んだ。
うめき声と共に芥川、脱落。






「兄人！」






立原と梶井が応戦する。
が、Aは梶井が投げた枕を避け、それは鏡花と戦う紅葉に直撃。
味方からの攻撃で紅葉が脱落した隙に、Aは梶井の足を払い、近くにあった枕を腹に叩きつけた。
梶井脱落と共に、Aの枕はゼロになる。
チャンスだと云わんばかりに立原が枕を掲げる。
だが、地雷を踏み抜かれたAには関係ない。
足元に落ちていた枕を上に蹴り上げると、それは立原の顎を直撃した。
一瞬で意識は消え、立原脱落。
容赦がなさすぎる。






「Aさん、三連続キルです」






「暴走モードって感じだねぇ」






残ったのは、太宰と三連続キルのA、鏡花、そして中也。
探偵社が有利だが、相手が中也ともなるとそうはいかない。






「無様に負けを認めたらどうだい？」






「はっ、返り討ちにしてやるよ」






挑発をし合う男二人と、肩の骨を鳴らして戦闘態勢に入る二人の乙女。
どちらが勝つか、そう考えていた瞬間、部屋の襖が開いた。






「随分騒がしいと思ったら…君たちか」






「…フィッツジェラルド！？」






金髪に、浴衣を着た男が「痴話喧嘩でもしているのかと思ったが、つまらん」とため息をついた。
組合も泊まっている事実に驚くと同時に、彼らも交えて枕投げをしたのはまた別の話である。

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