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「まっっっったく身に覚えがない!!
私が太宰さんと付き合う!?恋人!?どういうことだよ!!」







誰もいない給湯室に響くのは、Aの絶叫。
ゼェ、ゼェ、と肩で息をしながらズルズルと崩れ落ちる。
落ち着けA、お前は賢い子だ、ゆっくり考えれば判る。
…いや判らん、判るはずがないだろう巫山戯てるのか。






「あの人と付き合う…?
今でさえ他の女達から爆弾やら脅迫状やら届くのに交際…?
なんでそうなる…なぜ…。
そもそもあの人、今まで特定の人と付き合うようなことあった…?」







記憶を引っ張り出してきても、
太宰が口説くのは黒髪で色白の女性ばかり。
つまり、自分と似た容姿の女。







「…私に似た、誰かが好きだとか」







その身代わりのような形か?
そこまで考えて納得したように手を叩くと同時に
都合のいい恋人という扱いには横っ面を引っ叩きたくなる。







「…自然を装って別れればいいか」







なんだ、簡単な話じゃないか。
くっついたものを離すだけの話だ。
そう、Aは考えていた。
少なくとも、恋愛経験が皆無で男女のドロ沼を知らない小娘はそう考えていたのだ。






『別れてください、別れましょう、別れたいのですが…うん、これで行こう』






相手だって後輩の女を相手にするより大人の女の方がいいだろう。
事実、この世界の太宰も交際関係にあっても女性を口説くようだし。
いけると、思ったのだ。






「別れたいのですが」






流石に社員達の前で振るわけにはいかなく、昼に入ったカフェで簡潔にそう云った。
世間話の間に、サラリとねじ込んだ。
太宰は先程までの笑顔のまま動かない。






『よし完璧』






素早く話題を変えて、さりげなく話を…






「それ、なんの冗談だい?」






ゾッとするほど冷たい声に体が強張る。
彼はニッコリと微笑んだまま、黒い瞳で見つめてくる。







「うふふ、私、その手のジョークは嫌いだなぁ」







嘘だよね?
そう云わせようとする冷たさにAは純粋に思った。






「も、ちろん冗談です…」







『え、怖い』







そうだよねと微笑む太宰。
その後、運ばれてきた料理は味がしなかった気がする。
動揺を隠す為、莫迦みたいにタバスコをかけたはずなのに。
おかしい、なんでこんなことになるのだろう。
ドロ沼しかない、男女交際の裏を見たAは勢いよくパスタを食べたせいで思い切り噎せた。

*→←少女の非日常 [菜乃柊様リクエスト]



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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
- リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時

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