* ページ3
探偵社の階段をひとつ、またひとつと上がっていく。
気分は処刑台に向かう囚人だ。
僅かに震える手でドアノブをつかみ、扉を開ける。
中原中也、小泉Aの職場に小泉Aとして出勤の記念したくもない初日。
「お、おはようござ…」
「Aー!!今まで何処でなにをやっていた!!」
いきなり怒鳴る眼鏡のノッポに中也は目をパチクリさせる。
こいつは誰だ、そうだ、Aから聞いた、理想主義の先輩だ。
「えっと、ちょっと色々あって…」
『Aー!!初っ端からこれかよ!!』
それぞれの職場に行く際、Aからは
政府の人間を名乗る相手にはついていくな、母親の話が出たらしらばっくれろ、夜道には気をつけろ…
などなどお前本当に表の人間かと聴きたくなるような話をされた。
それに、別れる寸前、何故かぶつかった際に出来た怪我を見て同情するような目を向けられたのも記憶に新しい。
「まったく…まあいい。どうせ太宰のジサツを止めて遅れたんだろう」
「あぁ?」
つい、太宰という単語に低い声を出すと国木田がギョッとする。
急いで咳払いをして誤魔化した。危なかった。
『こりゃあキツイ仕事になるぞ…』
なんとか国木田の話を適当に流し、席に着くと近くで明るい髪色の青年と黒髪のセーラー服の少女が
朝っぱらからいちゃついてるのを見て『この職場やべぇ』と心で叫ぶ。
その時、ポン、と肩に手を置かれた。
「A、アンタ怪我してるねぇ」
後ろを向けば、やたら楽しそうな探偵社の女医が立っていた。
確かに怪我はしているが、なにがそんなに楽しいのだろう。
「賢治ィ、A手術室に運びな」
「はーい!」
「ッ、は!?」
いきなり米俵のように担がれ、抵抗むなしく手術室にぶち込まれる。
そして手足をベルトで拘束され、手術用のライトを当てられた。
なにが起こってるのか理解する間も無く、重い機械を持った女医が薄着で現れた。
「さァ、治療の時間だよ!!」
「は、ちょ、待て、それチェーンソーじゃ…あああああああ!?」
手に持っているものを見て血の気が引くと同時に、絶叫が響き渡る。
手術室の外で、谷崎が静かに手を合わせた。
『この職場絶対ぇやべぇ!!』
同時刻、そろそろ与謝野の餌食になっているだろうと予想したAは中也の体で静かに手を合わせるのだった。
445人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時