元いた世界、居るべき世界 [桜様リクエスト] ページ18
探偵社員の小泉Aは元はこの世界の住人ではない。
空間を操る異能者である女を母に持ち、その母が最後に残した力でこちら側にきた。
父と母、本来なら交わるはずのない世界で生まれた二人の間に生まれた子だった。
元の世界に未練があるかと聞けば彼女は首を横に振る。
それだけあちらの世界は彼女にとって辛いものだったから。
「はっ…私今凄いことに気づいてしまった…」
社長室で福沢に報告をしているAがいないのをいい事に太宰が明らかに仕事をサボり始めた。
この尻拭いを国木田達がやらされるのだから頭にくる。
「あの子、あっちの世界とこっちの世界の人の子だから…実質ハーフじゃない」
想像以上にくだらない内容に国木田は青筋を浮かべた。
くだらない、小学生が考えるような内容だ。
だがそんな話に敦は「あぁ!」と目を輝かせる。
「確かに!」
「敦!お前までも!!」
「ハーフ…確かに…」
「谷崎!?」
その考えはなかったとばかりに谷崎も納得する。
国木田はうなだれた、駄目だ、皆んな疲れているんだ。
俺も疲れているんだ、眼鏡を外して目の下を押し、ため息をつく。
すると、依頼から戻ってきた賢治が「ただいま帰りましたー」と元気に戻ってくる。
「ご苦労だったな…ん?それは?」
賢治の手には見慣れない手鏡が握られていた。
「依頼人の方が『珍しいものらしいけど年寄りには判らないから賢ちゃんにあげる』と、いただいたものです!」
「なんでそんなもの貰ったんだ…」
国木田が呆れたように云うと、賢治はえへへと笑う。
それにしても随分古い鏡だ。
だが細かい模様や飾りは見事で、白雪姫の魔女の鏡を彷彿とさせる。
「国木田君、へいパース!!」
「は!?おい!!」
当然鏡を投げられた国木田は驚き、持ち前の反射神経で受け取る。
太宰を怒鳴り散らすが、効果なし。
「一体なんなのだこれは…普通の鏡に見えるが…」
「でも喋るなんてまるで魔女の鏡じゃないか」
「はい、なんでも昔ある異能者が作ったものらしく…」
カタン、と固いものが落ちる音がして賢治は音の方を向いた。
そこには鏡が床に落ちていて、不思議に思って拾う。
「…あれ?皆さん?」
先程まで居たはずの国木田、太宰、敦、谷崎が居ない。
どこ行ったのかな、と首を傾げ、賢治は鏡を机に置いた。
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もこすけ(プロフ) - nino=sakuさん» コメントありがとうございます。怪談、いかがでしたか。実際に遭遇したくはないですね…。 (2019年3月26日 18時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
nino=saku(プロフ) - 主人公の怪談夜中に読んでたので普通に怖かったですw (2019年3月26日 0時) (レス) id: 2561bedadd (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。わざわざ有難いお言葉感謝します。もう少し続きますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 23時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - リクエスト受けてくださって本当にありがとうございます!作品とても楽しみです! (2018年12月7日 14時) (レス) id: 9fddac5d14 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - みぃちゃん,mさん» コメントありがとうございます。小泉のボーカル、見たいてますね。これから登場しますので、お楽しみに。 (2018年12月7日 10時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年10月28日 18時