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シード権賢治対哀れな国木田の戦い。
「いっきますよー！」
「待て賢治！負けだ！！俺の負けでいい！！」
「よいしょー！！」
Aはそっと目をそらした。
次の自分の相手が賢治だったら異能を操れば良かったが、それにしたって国木田が哀れだった。
与謝野に医務室に連れていかれる所も含め。
『次乱歩さんか…ここら辺で負けるかな』
あの乱歩が相手では分が悪い。
残念だがここら辺で負けよう、そう考えて席に座ると、
「太宰に勝ちたい？」
「え」
「太宰に一泡吹かせたいなら負けてあげるけど」
「ほ、本当ですか」
「お菓子二週間で手を打とう」
「勿論です、ありがとうございます」
試合前、汚い大人の裏取引によりAの勝ち。
それには一部の者が首を傾げたが乱歩の「もう飽きた」という発言で納得した。
さて、問題は次の試合、太宰対賢治で太宰が勝てるかどうかだが。
「はぁい、私の勝ちー」
頭脳戦で勝てるとはいえ、力では負ける太宰が勝った。
人間失格は触れないと発動しない。
賢治の異能を解除しても、勢いのついたハリセンは止まらない。
そこでふと、Aは賢治の頬にご飯粒がついているのを見て、試合前の太宰の余裕の理由が判った。
『この人…試合前に賢治におにぎり食べさせて異能を無効化してる…』
汚い、なんて大人だと思いつつ先ほど自分も同じようなことをしたことに口を噤んだ。
次の試合は太宰と。
これに勝てば優勝で太宰に仕事やらなにやらを押し付けられるが、
心理戦と頭脳戦に長ける彼に勝てる自信は残念ながら無い。
『だが策はある、そうやすやすと負けるか』
Aは携帯の中にあるそれを確認して、ニヤリと口角を上げた。
その笑みを見た谷崎が飛び上がるほど不敵な笑みだった。
『悪魔の戦いだ…』
『どっちが勝っても悪夢』
席に着き、ニコニコと笑う太宰と負ける気などないように凛とした顔で座るA。
頭脳戦では負けなしの太宰と、容赦の無さと判断力では太宰に引けを取らないAの勝負。
固唾を飲んで見守る仲間たち。
そんな中、乱歩の試合開始の掛け声が響く。
『絶対に負かしてやる』
そう心の中で叫んだのはどちらか。
双方、腹の中に黒いものを抱えたまま、口を開いた。
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もこすけ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます。そんなに読んでくださりましたか。とても嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年12月26日 20時) (
レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 3週目するくらい面白い。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 朧月さん» ありがとうございます。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 (2018年10月28日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - リクエストありがとうございました！これからも更新を楽しみに待っています＼(^^)／ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます。こちらもリクエストをいただき、こうして書けることがとても楽しいです。皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。頑張ります。 (2018年10月27日 16時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もこすけ
| 作成日時：2018年9月29日 19時
