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ページ19

薄暗い路地裏の淀んだ空気を引き裂く、黒い獣。
それから逃げ回るのはホウキに乗った女。





「ひぇっ!怖ッ!」





「抵抗するなら手脚を刈り取る」






女は悲鳴をあげながらマフィアの銃弾やら芥川の攻撃を掻い潜り、逃げる。
ある路地に差し掛かった瞬間、細い道に引きずり込まれた。





「…行きましたか」






「うん、もう大丈夫そうだね」





マフィアが行ったのを確認し、Aと太宰は魔法使いの女の方を見る。





「まさか本当にマフィアに追われてるとは…」






「見られたらまずい取引でもその異能で覗いたんじゃないの?」






「あ、お兄さん正解だよ」






魔法使いの女は青い目を瞬かせて笑った。
帽子や黒い服はまさに魔法使いといった出で立ちだ。




「あぁ、でもあたしのは異能じゃなくて…」





ふと、Aの方を向いた女の声が止まる。
なんだと思うと、次の瞬間には思い切り抱きついてきた。






「雪さんそっくりー!!なぁにこの子超似てるぅぅ!」






「!?」







「本人かと思ったけど違うよねぇ!
だってあの人なら助けてなんてくれないもん!!」





目を白黒させるAは太宰に助けを求めた。
彼は取り敢えずAと女を引き離す。






「美しいお嬢さん、"魔女"を知っているのかい?」






「知ってるもなにも、昔お世話になったんだよぉ。
まあ、あたしが勝手についていっただけなんだけどね」






「お母さんに…?」






「うぇ!あの人子育て出来たの!?
あたしに『異能じゃない力のコントロール』とかいって
ナイフ数千本の雨降らせたのに!?」






突っ込むところがありすぎて口を開けて呆然とした。
それよりなにより、





「異能じゃない…?」






「…超能力ということかい?」







「そうだよぉ」






そう云うと、女は太宰の手に触れているのに周囲の物を浮かせ始めた。
魔法、もしくは超能力のような力。





「異能があるんだから魔法も超能力もあるっしょ」






駄目だ、脳がパンクした。
Aは女の首根っこを掴むと、空のゴミ箱にぶちこんだ。
そして蓋を閉めると、悲鳴を聞きながらそれを坂道に転がしていく。
変なものはゴミ箱へ、だ。





「…前から思ってたんだけど」






「…なんでしょう」






「君のお母さん、交友関係凄く広いよね」






「…もう帰ります」






その頃、女は『やっぱ雪さんの子供だぁ』と思いながら坂を転がっていくのだった。

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もこすけ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます。そんなに読んでくださりましたか。とても嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年12月26日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 3週目するくらい面白い。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 朧月さん» ありがとうございます。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 (2018年10月28日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - リクエストありがとうございました!これからも更新を楽しみに待っています\(^^)/ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます。こちらもリクエストをいただき、こうして書けることがとても楽しいです。皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。頑張ります。 (2018年10月27日 16時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年9月29日 19時

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