太宰治の説教は怖い [柊様リクエスト] ページ17
組合戦の時、Aが中也を脅す為に自分 の頭に拳銃を突きつけた。
演技とはいえ、実弾が入っているそれを使ったのは与謝野にも相当怒られたし、かなり危険な賭けだったと思う。
だから、彼にだけはバレたくなかったのだが。
「それで?云い訳があるなら聞くよ?」
Q救出計画が成功した次の日、なかなか珍しい光景が探偵社で繰り広げられていた。
ニコニコと笑いながらも何処か寒気を感じさせ椅子に座る太宰と、
そんな彼の前の床に正座し、バツが悪そうな顔をするA。
社員達は助け舟は出さない。
それはAにも非があるからである。
「私は危険な賭けに自分の命を使わせる為に銃を渡したわけではないのだよ?
中也に向けるならまだしも、自分に突きつけた?
可笑しいなぁ、私そんな事やれって云ったっけ?」
「…いいえ」
「そうだよねぇ、しかもそれを周りに口止めしていたときた。
私、君に聞いたよね、『危ない事してない?』って。
そしたら君なんて答えたかな?」
「…なにもありませんでした、と…」
「へぇぇ、君には"アレ"が危ない事じゃ無かった、と。
それなら君の云う危ない事はなんなのか私に教えてくれるかい?」
太宰の容赦のない説教にAは唇を噛む。
この人、怒ると面倒な上に怖い。
床に正座する自分を見下ろしてくるその姿は魔王のようだ。
「もしも誤作動でも起こして弾が出たらどうするつもりだったんだい?
脳に当たれば即死だ、それが判ってるの?」
確かに、あれは危険だった。
だが必要な事だったのだ。
それに、ずっと思っていたのだが、
「ジサツばかりする貴方に云われても説得力ないですよ…」
不貞腐れた子供のように云うA。
それを聞き流すほど太宰は優しくない。
「なにか云った?」
「いいえなんでもございません」
「へぇぇぇ、そっかぁぁ」
にっこりと更に笑みを深めた太宰にやばい、と冷や汗が滲んだ。
そこからはもう云い返すことなんて出来ないくらいの長い説教だった。
それはもう、「はい」「ごめんなさい」「もうしません」を何回繰り返したか忘れるくらいには。
『この人、なんでこんなに怒るんだろう…どうせ他人なのに』
慣れない、他人の心配に触れ、Aはキュッと拳を握った。
だが今はそれが温かいと感じるのはきっと気のせいだと思いながら、太宰の説教に耳を傾けるのだった。
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もこすけ(プロフ) - ReiLeiさん» コメントありがとうございます。そんなに読んでくださりましたか。とても嬉しいです。ありがとうございます。 (2018年12月26日 20時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ReiLei(プロフ) - 3週目するくらい面白い。 (2018年12月26日 17時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 朧月さん» ありがとうございます。これからも頑張りますので応援よろしくお願いします。 (2018年10月28日 15時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - リクエストありがとうございました!これからも更新を楽しみに待っています\(^^)/ (2018年10月28日 15時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 嬉しいお言葉ありがとうございます。こちらもリクエストをいただき、こうして書けることがとても楽しいです。皆様のおかげです。これからもよろしくお願いします。頑張ります。 (2018年10月27日 16時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年9月29日 19時