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「おや安吾」






ある日の昼休憩、外に出ていると太宰はある人物に声をかけた。
その人物は太宰を見ると蛇に遭遇した猫のようにビクッと肩を揺らした。






「こ、こんにちは…太宰君」






品のいいスーツを着た、丸眼鏡の男性。
彼は何度か見たことがある。







「異能特務課の…坂口さん」







「小泉Aさん…こんにちは」







ぺこりと他人行儀な挨拶をする。







「君がこんな時間にこんなところにいるなんて偶然だねぇ」







「そ、そうですね…」








何処と無く視線が交わらない二人を見て、ふと気付く。
そう云えば太宰治、坂口安吾と云えば史実でも繋がりがあった。
となると、そこにはもう一人いてもいいと思うのだが…。







『織田作之助がいるはず』








だがこの世界では会ったことはおろか、名前すら聞いてない。
居ないのかな、と思いつつ顔を上げる。






「なんだい君、さっきから変な方向見て」






「いえ、何も見てません」






「尚更気になるんだけど」






「…見えないものが視えてるとか」






「君のみえるは見えるじゃなくて視えるだろう」






くだらない会話をしていると安吾が太宰の首を見てギョッとする。
包帯が巻かれていないところに、赤い跡。






「本当に今日はどうしたんだい君」






「太宰君、僕は何も見てませんし知りません」







「え、何、君なにみたの」







云えない、君が美女にお持ち帰りされているのを見たなんて。
暗くて顔はよく見えなかったがかなりの美人だった。







「君の女性関係に口出しはしません、ですが君が逆にそうなるとは思いませんでした」







「ちょっと待ってなんの話してるの!?」








「知りません!僕は見てませんから!なにも!!」








「君何徹目!?」








ギャーギャー叫ぶ成人男性を見て、Aはナニコレと呟く。
なにを見たの、見てません、さっき私の首見てなんか顔色変わってたよね、知りません。
首の話で太宰の虫刺されを思い出す。






「太宰さん、首のそれ大丈夫ですか?」







「え、うん」








「ちょっと待ってください!貴女知ったんですか!?」







「え、あ、はい、でももう仕留めましたし…(蚊を)」







「(人を)仕留めました!?」








「安吾、君寝てる!?」








ちなみに誤解を解くのに二時間かかった。

鏡よ鏡よ鏡さん [楓様リクエスト]→←*



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Ohata(プロフ) - 泣いて……いいですか?(織田作ぅ!!) (2022年8月22日 23時) (レス) @page11 id: 9a3ac744f2 (このIDを非表示/違反報告)
ハック - おっ織田作さんぁぁぁぁぁああぁあああああん (2021年8月25日 17時) (レス) id: 0c5e7e9ecb (このIDを非表示/違反報告)
暁郗 - 砂色のコート、赤い髪…お、おださっ…ああああああああああああっっ!!(号泣) (2021年1月1日 0時) (レス) id: 14cb33816d (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - まつかわもちさん» はい、アナベルをモデルにして少し違うものにしております。 (2018年9月30日 11時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
まつかわもち(プロフ) - 呪いの人形って、もしかしてアナベル……ですか? (2018年9月30日 10時) (レス) id: 895f1d2de6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年8月8日 15時

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