【文スト】この世界と番外編 その四

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梶井の惨劇、敦の惨劇と続いて三人目の王様は鏡花だった。
彼女は迷いのない動作で紙を選び、引いた。








「二番が右隣の人と服を交換」








先程までと比べると随分優しく感じる内容にホッとした。
だが、何故か谷崎はガタガタ震えている。







「…谷崎さん、二番ですね」









Aの声に谷崎はビクンと肩を揺らす。
右隣に座るナオミに目を向けると、彼女はすぐさま兄の番号が書かれた割り箸を取り上げた。








「二番ですわ！」









つまり、谷崎は妹と服を交換する。
ナオミの、セーラー服と。
それを察した一同はこれもえぐいと口を押さえる。








「…えっと…」








「谷崎、強く生きろ…」








「そこまで違和感が」








「A！！」









「失言でしたすみません」








セーラー服を着て震える谷崎。
兄の服を着て満足げなナオミ。








「これが王様ゲェムなのね」








「エリスちゃん、違うからね」








その後も惨劇の連続だった。
中也が太宰の椅子になったり、立原が銀の投げナイフの的になったり、
鏡花が目隠しをした状態で敦の頭の上の風船を夜叉白雪でぶっ刺したり、
樋口が芥川をお姫様だっこしたり、
森と福沢が腕相撲をして森の肩が外れかけたり、
王様が与謝野に解体されたり…数えたらキリがなかった。








「これ…更に怨恨生まれてません？」









「私は楽しいよ？」








「太宰さん…もしかして書いた３枚とも当たりました？」









「ひ、み、つ」









げんなりした顔の敦はこの状態を楽しんでいる太宰にジト目を向ける。
そして、この状態を作り出した張本人であるAにも。








「もうこれで最後にせんか」









王様になった紅葉の提案に反対するものはいなかった。
そして、彼女が最後に引いたのは最もまずい命令だった。







「四番が怖い話をする」








「あ、私の」








ポツリと呟いた鏡花に紅葉は「可愛い字じゃのう！」とべた褒めする。
だが肝心なのは四番が誰かということ。








「…私か」









Aが自分の番号を見て手を挙げた。
それを見て探偵社一同、戦慄した。








『まさかのジョーカー！！』








怖い話をさせたら右に出るものはいない、怪談の申し子。
戦慄する探偵社員達を置いて、Aはあれにしようと呟く。







「これは、私が実際に体験した話です」







何故か、部屋の気温が下がった気がした。

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