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男が女に服を贈る意味 [蘭様リクエスト] ページ7

「よぉ」







聞き取りを終え、帰って内容をまとめようと夕暮れの道を歩いていた時、何処からか声をかけられた。
ここは路地の一本道だし、誰がということ辺りを見回す。







「ここだよ、こーこ」









「…判るわけないでしょう、そんなところ」








ビルの壁に真横で立つ中也に文句を云う。
彼は重力を感じさせない動作ではふわりと着地した。







「これから暇か?」







「はい、まあ…」








「ちょっと買い物付き合えよ」








ニッと歯を見せて笑う中也にえ、と思わず声をもらす。







「買い物、ですか」








「一人ですんのも味気なくてなぁ」








「…ぼっち」








「やめろ」








太宰から教わった現代語を口にすると中也はどこか黒い笑みで脅した。
兎に角、と帽子を被り直す。







「時間、あんだろ?」








「まあ、少しなら」








「じゃあいいや、付き合え」








なんて強引な、と思いつつ時間があるのは事実なわけだから素直に従う。








「…ここ、ですか」









連れて来られたのは明らかに高価そうなワイン屋。
店先に並んでいるワインは目玉が飛び出そうなほど高い。







「あ、これ…」








「おっ、知ってるか?」








「母がワイン好きだと聞いていたので少しは」








「へぇ」








「と云うか私未成年なのに入っていいんですか」








「あ?気にすんな、ここの客は皆裏稼業の奴らだ」








「そんな店に連れてきたんですか」








「大丈夫だろ、お前未成年に見えないし」








そういう問題かとぼやきつつ、店内に入る。
店内には美しい音楽が流れていて、荘厳な雰囲気が漂っていた。







「高い…」








「手前が成人した時の為に一本買っとくか?」








「冗談にしてはきついです」








「マジで買ってやろうか」








「エンリョシマス」








高価そうなワイン片手に中也はケラケラ笑った。
そして、小さく「本気なんだがなぁ」と呟いた。
だがそれはAの耳には届かない。








「それにこれくらいの度数じゃ酔えないと思います」








「おい不良娘、未成年なのに飲んだのか」








「いや、事故で昔小さい時お父さんの知り合いが持ってきた強い酒を飲んだだけです」








「結果は」








「焼酎だったみたいですけど全く酔いませんでした」







「…酒豪」







中也の呟きは美しい音楽にのみこまれ、消えた。

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もこすけ(プロフ) - 有栖さん» リクエスト承りました。嬉しいお言葉ありがとうございます。 (2018年8月13日 6時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
有栖(プロフ) - リクエストです。薬か何かで小泉ちゃんが5歳くらいになって、武装探偵社で天然笑顔や、寂しがり屋を披露して太宰さんの事をお兄ちゃんって呼ぶって感じのお願いします!!!!!多めですみません!この作品めっさ好きです! (2018年8月12日 23時) (レス) id: e65e94b2de (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - ゼロレールさん» リクエスト承りました。わざわざコメントありがとうございます。感謝します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロレール(プロフ) - リクエストいいでしょうか?以前にやった幼い太宰さんの逆トリと同じで、幼い中也さんの逆トリお願いします。後、前回コメントができず、すみませんでした。リクエストは無理でしたらスルーでも構いません。よければ宜しくお願い致します。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 3e587b9082 (このIDを非表示/違反報告)
もこすけ(プロフ) - 千晴さん» こちらこそありがとうございます。 (2018年8月6日 17時) (レス) id: 4a59fda111 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もこすけ | 作成日時:2018年7月22日 21時

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