【文スト】この世界と番外編 その四

＊ ページ17

女子と云うのは、時に容赦がないものである。







「探偵社の男ねぇ…妾は悲鳴が聞き応えがあるのが好みだよ」







「兄様、太宰さん、国木田さん、乱歩さん、敦さん、賢治君、社長…皆さんタイプがバラバラですわね」







「個性がある」








「鏡花はそう云うけど個性は個性でも系統が違いすぎる」








「敦さんはどうです？優しそうだし純粋ですわ」








「敦は悲鳴もいいしねぇ…でもすぐ治っちまうからあんまり治療できないよ」








「あの人は…優しい」








「でも気が弱いところもある。
芥川相手になると猛獣になってあれはあれで頼もしいけど」






辛辣なことを云っているのは女子だけだからだろう。
女子と云うのはシビアな考えを持つものである。








「国木田さんはどうです？」








「太宰さんと違って時間にしっかりしてるしきっちりしたところは好感が持てる」







「まあアンタら真面目同士だからね。でも国木田は理想の女の条件が多すぎるよ」







「へぇ…どんな内容で？」








「ナオミ云ってやんな」








「例えば…」








「…うわぁ」








「今本気の引き声だったねぇ」








「何が駄目だった？」








「鏡花…男の理想の女性像って…あり得ないんだね」








「国木田さんは理想が高すぎる、と…では太宰さんは？」








「あの人は論外だ、次」








バッサリ切り捨てたA。
ナオミが反射的に何故、と聞く。








「考えてみて、ジサツはするわ料理に味の素はかけるわ定期的に女性に爆弾が送られてくるわの男…」








「鬱憤溜まってますわ…」








「嫌なの？」








「ポスト開けて爆弾入ってた時の私の気持ちが判るか…」








「ちなみにいつの話だい？」








「一昨日」








「最近…」








「あんなのばかり来たら流石に気が滅入る」








故に太宰は却下だ。
先輩としては尊敬してるが男としてはもう少し誠実になってほしいと思う。
いつか自分に風穴が開く気がする。








「その点、賢治は争いごとがなさそう」








「でも寝起きの賢治はおっかないよ」







「じゃあ乱歩さんはどうですの？」








「食育に苦労しそう。あと口で勝てる気がしない」







「社長は？」







「素敵だと思う」







「なるほど…え？」







瞬間、個室に驚きの声が響いた。
その声に、隣の個室にいた"ある団体"はおや、と首を傾げた。

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