【文スト】この世界で生きるのは不可能という結論が出ました 6

二百六話 ［猟犬部隊］ ページ6

「…子供？」



聞こえてきたのは可愛らしい少女の声。
というより、子供のように幼い声だった。



『げっ、副長殿！』



『血を！血を！血を見せよ！罪人共の血と命乞いを見せよ！
早うせねば貴様等の手脚を捥いで慰みとするぞ！』



内側からガンガンとなにかを蹴る音が響く。



『がはは！我等が悪鬼がお冠だ！』



『笑えません隊長、副長が本気で暴れたら我々全員死ぬのですよ？』



盲目の男は嫌そうな顔をして弾道体の扉を開けた。



「…は？」



『かかか！命拾いしたな下郎共！！
あと一秒遅くば儂の盆栽趣味の為に手脚を程よく剪定されておった所じゃ！」



現れたのは可愛らしい顔立ちの少女。
いや少女と云うより幼女と呼ぶべき小ささの子供だった。



『��子さん、今回の獲物は相当の…』



『黙れ条野。儂の心拍を読んでの機嫌伺いなど却って業腹じゃ。耳を毟り取るぞ』



「ッ、」



画面越しにも伝わる殺気に思わず身震いをする。



『がはは！今日も善い具合に狂犬だな��子君！活躍に期待してるぞ！』



『はぁい隊長！この��子、身命を賭して隊長の狗になる所存で御座いまぁす！』



幼女が可愛らしくて答える。
それを見ていた警察の一人が云った。



『国内の全部隊から最高の人材を集め結成された五人。
特殊制圧作戦群・甲分隊だ』



やはり、そうだった。
彼らは皆、"普通の人間"じゃない。



『部隊を束ねる長にして生ける伝説、
神刀・雨御前を下賜された英雄、福地桜痴』



『超五感による万物を把握する無明の王、
標的の秘密を「聴く」尋問の達人、条野採菊』



『純粋な戦闘能力では部隊最強、
肉体と精神に鋼を宿す武人、"隕石斬り"の末広鐵腸』



『味方が畏れ、敵は更に畏れる血荊の女王、
彼女の鋼鞭に悪魔すら泣いて平伏す、大倉��子』



まるで伝説のような特殊部隊。
聞こえてきた話に、焦りが募る。



「ッ早くどうにかしないと…」



このままでは国木田達が危ない。
急いで通信を繋げようとした瞬間、



『盗み見とは感心しませんね』



条野採菊が、こちらを向いて笑っていた。
ゾァッと、背筋に冷たいものが走る。



『鐵腸さん、斬ってください』



それを合図に、映像は途切れた。
暗転した画面を見つめ、Aは唖然とし、そして悔しげに壁を殴った。
拳から僅かに血が滲んだ。

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