ポックリ72 ページ22
入ってきたのは国木田と累音だった
国木田が険しい顔で何かを言い、其れをなだめるように累音が相槌を打つ
そんなやり取り繰り返していた
太「遅かったじゃない、国木田君
もうとっくに修理は終わってたはずだけど、累音君がそんなに気に入ったのかい?」
太宰が少々不満気な声で言う
国「あぁ、仕事もせずに我が社の看板に泥を塗りたくっているお前よりは良いだろう
悪癖がない、迷惑を振り撒かない、人の話に耳を傾け、丁寧に接している
何より、仕事ができる」
それを聞いた累音が隣で照れながらにへらと笑った
それを見て若干引いた茶那が不快な顔でお冷やの氷を噛み砕く
敦「そういえば皆さん探偵社に入る前は何を」
敦が言うと、店内静まり返った
こうして前職当てゲームが始まった
メロンクリームソーダに口を付けながら茶那が言う
一『谷崎兄妹は...学生?』
谷「おお、良く分かったね!」
ナ「どうして分かりましたの?」
一『ナオミさんは見たまんま、谷崎さんは歳が近そうだからなんとなーく』
まぁ、答えを知ってるからね
太「お見事!じゃあ、国木田君は?」
国「おいやめろ、俺の前職等どうでもいい」
一『えー・・・万引きの常習犯とか?』
国「何故そうなる!」
いやこう言う真面目そうな人ほど・・・ね?
一『えー、じゃあ敦分かる?』
敦「えっ?!ぼ、僕?!え、えーっとそれじゃあ・・・お役人さん?」
敦が答えると太宰が惜しい!と一言
太「彼は元々数学の教師なのだよ」
敦と茶那は何故か頭の中で
「此処はxの累乗を使うに決まっているだろう!」
と叫びながら黒板を叩く国木田が鮮明に思い描かれた
太「じゃあ私は?」
太宰がにこやかな笑みを浮かべて問いかける
相当自信がある顔だ
敦には想像もつかない
谷「太宰さんの前職は未だ誰も当てられてないんだ
そのせいで今、賞金が・・・七十万まで膨れ上がってる」
敦「な、七・十・万?!」
敦の目に鋭い光が宿る
こんな所で生命の輝き見せなくていい
その後も敦は役職を当てようと試みるが
敦「」
見ずとも聞かずとも分かる
悉く失敗に終わった
目に光がない
一『あ、敦、大丈夫・・・?』
敦は先刻から突っ伏したまま七十万…七十万…と呟いている
太「うふふ、もう降参かい?じゃあ此処で大ヒント!
この中で一人だけ!私の前職を知っている人がいまーす!」
場が凍りつく
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作者名:chizomeと818猫とプチネコと茶々と___。 | 作成日時:2019年6月9日 12時