漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ16)

今日:6 hit、昨日:4 hit、合計:10,863 hit

Episode16-3 ページ16

「…………」
何も返事がなく、私はどうすればいいのだろうか。何か悪いことでも言ったのかと思ってしまった。
「何かやらされたか？」
(……！！)
何もやらされていないことを打ち明ける。
「なら、いい。行くぞ」
背を向けて先へ行ってしまった。見失わないように私は追いかける。背を向けている為、いまいち心境が分からない。
「他の男と関わるんじゃねぇ、いいな？」
急に言われて私は驚いた。急に言われたのだから。

「はい……」

その答えを聞いたジンは怪しげな笑みを浮かべた。背後にいる為、私は良く見えなかった。

その後、ベルモットがやって来た。何やら察しているようで、不適な笑みを浮かべている。
「ここもいずれ警察が来る、行くぞ」
煙草を吸いながら先へ行ってしまった。車が止めてある駐車場に向かい、ウォッカが待っていた。
「じゃあ、私はこれで。じゃあね」
ベルモットは女優の仕事もあるらしく、バイクに乗って行ってしまった。
「そういや兄貴、コードネームどうするんですか？」
車を走らせながら、気になっていたことを聞いた。コードネームは未だに明かしていなかった。
「何が良い？」
コードネームはカクテルの名を元に決めている。私はあまりそういうのに詳しくなかったので、決めてもらうことにした。
「…どうしやした、兄貴？」
携帯電話を開けて、怪しげな笑みを浮かべていた。
パタン…
携帯電話を閉じ、コードネームを告げる。
「ムーンライトだ、お前は今日から“ムーンライト”だ」
その意味はあるのだろうか。私は聞きたかったが、止めておいた。
ムーンライトは月光を意味する。意味からして美しい感じだった。
そして、彼女の瞳の色は蜂蜜のような黄金の色。それにも関係しているのだろう。

(あまり表に出さないけど…そうなのかな？)
ふと思うと私は頭が真っ白になってしまった。他にも思い当たることがあった。
(そういえば…あれから任務はライとかバーボンと組まなくなったっけ…。それより、ペアはジンが多かったような)
今までの任務を思い返して見ると、ライやバーボンはなかったことに気付いた。