漆黒の境界線act.Ⅲ (ページ2)

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Episode13-2 ページ2

遡ること1時間前________

尸魂界・処刑場。
「一つ聞きてぇことがある」
日番谷冬獅師は体力が消耗しているのに話し掛けた。成宮さくらは顔一つ変えずに聞き耳を立てた。
「何故、藤宮琉奈にそこまでする気がある？」
「どうしてだろうね……私にもさっぱり分からないんだ！」
てへっと悪戯な笑みを浮かべた。呆れたように日番谷冬獅師はため息をつく。
「だから…藤宮琉奈とどういう…！」
「…煩いなぁ！」
鋭い声が走り、日番谷冬獅師はびくっと驚いた。藤宮琉奈という言葉を出した途端、怒りの声を上げたのだ。
「一度しか言わないから、聞き逃しても知らないよ。私は藤宮琉奈という人に対して個人的な思いがあるの、家族的な意味って感じかなぁ？」
人差し指を立てて「う～ん……」と何回か呟いた。様々な記憶が巡り、あることを思い出した。
「…そうだ、琉奈とはね私の妹的な存在かな。実の兄がいるんだけど、それとは別だよ。見てると危なっかしいし放っとけないんだよね！」
戦っている時とは全く印象がガラリと変わっていた。明るく接している。
「最初に会った時は…現世の時かな？虚が米花町に現れてさ…琉奈を助けたのよ。助けたといっても…立ち向かうように仕向けたかな。自分の中にある力を引き出すように…その時から琉奈には霊圧を感じられたんだ。制御している霊圧をね…」
(……？！)
日番谷冬獅師は驚いていた。どういうことなのかと聞いてみるが、これ以上は話してくれなかった。
「詳しく聞きたければ乱菊に聞いてみてよ、乱菊も同じ任務で来たんだからね♪」

(どうするか…聞いてみる価値はありそうだな)

ふと、松本乱菊を見ると「私の顔に何かついてる？」と聞かれた。
「違う！俺はな……藤宮琉奈について考えているだけだ！」
ピンと閃いたのか松本乱菊は悪戯な笑みを浮かべた。
「もしかして聞きたい？」
(……！！)
心の中を見抜かれ、日番谷冬獅師は驚いた。
「さくらちゃんは…才能があると思って琉奈ちゃんに死神の力を分けたんだよ？一護の時と一緒ね♪」
ウィンクして昔のことを語る。語るにしてもそれほど長くはない。
「制御している霊圧を感じた…ということは中に膨大な霊圧を秘めている…その力を死神として使って欲しいと言ったの！」
日番谷冬獅師は「…それで、何と答えたのか？」と聞いた。すると、思いもよらない返答だったとのこと。
「…『いいよ』と真っ先に言ったわ。信頼していない人に言ったのよ？普通に考えれば有り得ないことよ、でも琉奈って人は成長が早かったわ…ちょっと気になって琉奈の両親を聞いてみたの」