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#story 16 ページ18

「好きかどうかはわからないんです…正直」

『うん』

「でもドキドキしたり意識したり。今この距離でいるのも
緊張して冷静でいられないんです」

『可愛い』

そう言ってまた抱きしめられ、そのまま放置して

課題をしていると扉をノックする音が聞こえた。

離れようとしたけど、至さんの力が強く離れることが出来ない。

「離してくれません?」

『…俺の事好きなんじゃないの?』

そう耳元で囁かれ、思わず手が止まってしまう。

そんな寂しそうな声出すなよ…。


「……っ。好きにしてください」

『優しいね。どうぞー』

そう言うと、咲也がひょこっと顔を覗かせる。

『こんにちは。ちょっと至さんに相談があって…』

部屋の中に入り扉を閉めて、一瞬俺の方を見て微笑んでから

咲也は至さんに近付く。

『ん。どーしたの?』

至さんはそう返事をすると俺から手を離して

咲也の方へ向いた。

その瞬間、ドクンと心臓が嫌な音を立てる。

……ダメだ。なんでこんなにモヤモヤするんだろう。

俺は無言で立って教科書などを纏めると

それを持って部屋を出ようと扉へ近付いた。

『A?』

「…続きは紬さんに教えてもらうので」



泣きそうになったのをどうにか堪え、部屋を出る。

大丈夫かな。声震えてなかったかな。

談話室の方へ歩き始めた途端、涙が出てきて

どうしようもなくなった。

拭っても拭っても止まることはなくて、涙を零しながら

一旦洗面所の方に入り扉を閉めてそこに背をつくと

はぁーっと大きなため息が出る。



「…好きなのかな……」



自覚なんてしたくないし、認めたくなんかないけど。

でもすごく胸が苦しい。

ぎゅっと服の裾を握って袖で唇を拭った。

それでもまだキスをされた熱が残っていて

至さんを思い浮かべて苦しくなる。

俺の事を好きだとか言ってくるくせに

簡単に咲也のほうを向くんだ。

簡単に俺の手を離すんだ。

どす黒くて汚い感情が俺の中をどんどん埋め尽くしていく。

…こんな自分が嫌だ。


俺は至さんの恋人でもなんでもないのに。

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立夏(プロフ) - あいちゃんさん» ありがとうございます!そう言って頂けてとても嬉しいです(*´ω`*)亀更新ですがこれからも宜しくお願いします♪ (2018年4月24日 19時) (レス) id: 4d6843689d (このIDを非表示/違反報告)
あいちゃん(プロフ) - 頑張ってくださいいつも楽しみにさせていただいてます(`・ω・´)キリッ (2018年4月16日 6時) (レス) id: 9afa5d89f1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2017年10月3日 14時

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