短編集 (ページ6)

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その後も繰り返される分別の中で、彼が「いる」と答えるものは不思議なものが多かった。先ほどのちいさなだるまの置物もそうだし、赤色にゴールドの細かな模様が刻まれている缶や、何処かのご当地キーホルダーのようなものだったり。一見何の規則性もない、子供の宝箱の中身のようだった。

ある程度部屋が片付いたところでチラリと彼へ視線を向ける。

「そのTシャツもこの機に捨てちゃえば？」

「いーや、これ着心地ええねん」

「でも首のとこだいぶヨレてきてるよ」

「あかんあかん、これは大事なやつやから」

そう言ってふわりと浮かべた笑顔を見て思い出す。少し色褪せてヨレヨレになったそのTシャツは、いつしかわたしがプレゼントしたものだった。

そして子供の宝箱のようなそれらは、わたしが彼へとプレゼントしたものたちだと気付く。

ショッピングの合間に立ち寄った雑貨屋さんで目に入ったちいさなだるま。いつしかのバレンタインに買った市販のチョコが入っていた缶。友人と旅行に出かけた際に面白半分で買ったストラップ。

どれも決して高価なものではない、思い付きで手に取った彼への贈り物だ。

いつどこで買ったのか覚えていないようなものも、彼はまるで子供のように、キラキラと目を輝かせ宝物のように大切にとっておいてくれたのだ。

「だるまくんわたしのこと好きだね」

「当たり前やん大好きやけど」

ドヤ顔で答える彼がどうしようもなく愛おしくて、飛びつくようなハグをした。