夢で逢えたなら ページ25
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Aが聞いた
僕にとって、Aは何なのかと
幼馴染み？それとも家族？
良太郎｢Aは…｣
確かにどれも正解だった、間違いなんてない
でも今のAにはなんて言えばいいのかわからなかった
Aの家族のことも、言いたくても言えなかったことも
全部どう伝えようって迷っているうちに
Aの気持ちにとうとう限界が来て泣いてしまった
ずっと長い間知らないうちに抱え込んでいたんだ
僕や姉さん、桜井さんの前では笑っていたけれど
本当はずっとずっと寂しくて、悲しかったんだろう
そんな思いをしないように
笑って欲しくて、幸せになって欲しくて黙っていたけど
きっとそれは間違いで
─良ちゃん見てみて！お母さんにやってもらったの！
─かわいいでしょ！このリボンはお兄ちゃんがね…
Aのことは家族も同然だと思ってた
きっと姉さんもそう思ってる
血の繋がりはないけれど昔からずっと一緒だから
姉さんにとってもAは妹のようなもので
本当に家族のような存在なことに変わりはない
でもそれだけじゃどこか腑に落ちなくて
─Aはいつも元気だね
─そう？
─うん、いつも元気だし、いつも嬉しそう
─だって毎日嬉しいことだらけだもん
─お母さんがいて、お父さんはいないけどお兄ちゃんがいて
─良ちゃんがいるから
悲しませたくなかった
傷つけたくなかった
でもきっと、今のAはたくさん傷ついて
良太郎｢(僕にとって、Aは何なのかって…)｣
良太郎｢(そんなのずっと昔から)｣
Aがこんなに泣いているのを見るのは何時ぶりだろう
目が赤くなるほど泣いて、手が震えるほど悲しんで
誰にも言わずに頑張って、助けてなんて1度も言わない
今まで1回も助けてって言ったことがなかったよね
良太郎｢(Aは知らないと思うけど、ずっと昔から)｣
守りたいものばかりがどんどん増えていく
そんな力はどこにもないのに
目の前にいる大切な人の1人も守れないのに
何ができるんだろうって、何度も繰り返し考えた
答えは一向に出ない
良太郎｢(ちゃんと大切に思われてたよ、きっと今も)｣
良太郎｢(Aのことを家族だと思ってるのは僕と姉さんだけじゃない)｣
Aにとって、何が正解なのだろう
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作者名：ぽちゃた | 作成日時：2022年4月6日 21時
