病気審神者の本丸

31話 ページ39

一期side




ついに来たか、誰もがそう思った。


数日前に届いた政府からの手紙には、
「良い成績を収めた本丸である」ことと
「であるからして、是非とも演練に参加してほしい」という旨が書かれていた。


今まで1度も演練には赴いたことがなかったが、
いつまでも避けて通れるはずがなく

審神者会議同様、主には万全の設備を整えて出席することとなった。





現在第一部隊である、三日月殿、山姥切殿、和泉守殿、燭台切殿。五虎退、そりから私、一期一振が演練に行くことになった。




以前、審神者の定例会議(12話参照)に出席したことのある三日月殿に

「他本丸とは、どのようなものですか？」

と聞いたら

苦い顔をして、

「よいものではないな。」

と言われた。


「余程、主が珍しいときた。見世物小屋のような視線が不愉快だ。」


口元を着物の裾で隠しながらそう言った。



第一部隊のメンバーが今一度気を引き締めたとき


「だが、一人、一人だけ、愉快なやつもいたな。」

「愉快？」


「男だったが、あいつは実に心の綺麗な奴だった。」


「あぁ、あの…」と薬研が声を出した。
どういうことかと尋ねたら


「定例会議が終わってすぐに話しかけてきたやつがいるんだが、他のやつと違って主を腫れ物にすることなく、心配したんだ。」


「へぇ…」
主のことを心配してくれる人間がいるだけで
心が少し穏やかになった。


「しかも、えらく挙動不審でな…」
と、笑いながら話す薬研を見ると本当に愉快な人物のようだ。



「あいつは、主に一目惚れしたとみた。」






………愉快じゃないな。




___________________________………

人物紹介。

柊(ひいらぎ)
男 23歳 審神者をしている。

本編12話ぐらいで、話しかけてきた人。

穏やかな性格で、刀剣男士達を家族のように思う優しい心を持った好青年。

寝たきりの審神者を見たときに
遠くからでも感じることの出来る霊力と容姿の美しさに一目惚れ。


そのことを、よく獅子王にからかわれるのが悩み。

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